貢挙(読み)コウキョ

デジタル大辞泉 「貢挙」の意味・読み・例文・類語

こう‐きょ【貢挙】

古代中国の官吏登用の法。地方からすぐれた子弟選抜・推薦させ、中央政府がこれを登用したこと。
律令制で、官吏に適格な者を推薦すること。諸国国学から国学生を貢する貢人と、大学から大学生を推挙する挙人とがあった。

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精選版 日本国語大辞典 「貢挙」の意味・読み・例文・類語

こう‐きょ【貢挙】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 古代中国の官吏登用の法。地方から文武にすぐれた者を選抜して、中央政府に推薦させ、これを登用したこと。〔韋彪‐郡国貢挙議〕
  3. 科挙」の別称。もとの意であったのが、科挙制度がそなわって後、その別称として用いられたもの。
    1. [初出の実例]「是等の挙をあはせて選挙と云、又貢挙、科挙とも云」(出典:制度通(1724)六)
    2. [その他の文献]〔新唐書‐選挙志上〕
  4. 令制で、人格・能力によって適格者を選び、官吏またはこれに准ずるものの候補者として推薦すること。諸国から国学生を貢し(貢人)大学から大学生を挙する(挙人)ことを主とするが、このほか中央諸官衙および諸国が蔭子孫、位子を貢し、帳内、資人の中からその主人が貢し、あるいは郡司国分寺の僧尼候補者を貢するなどの例が見られ、原則として一定の試験を経て、及第者に官職・位階・地位が与えられた。その試験の最も大きくかつ制度化されたものが式部省・大学寮の行なう省試および寮試で、この制度は中国の科挙にならって門地財力によらぬ人材の登用を目的として設けられたもの。形式的には室町末期まで行なわれたが、早く形骸化し平安末期以降その実質的な意味を失った。〔令集解(701)〕

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「貢挙」の解説

貢挙
こうきょ

「ぐこ」とも。秀才明経(みょうぎょう)・進士(しんし)・明法(みょうぼう)・算・書などの試験の受験者を推薦すること。国学から推薦された者を貢人(くにん),大学から推薦された者を挙人(こにん)といった。大学・国学で学問を修め,学内試験に合格して貢挙された挙人・貢人は,太政官での手続きをへて式部省で試験をうけた。合格すれば出仕を許されて官人になり,不合格の場合は,9年の在学年限内の者は本学に,年限の残っていない者は本貫(ほんがん)に帰された。

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普及版 字通 「貢挙」の読み・字形・画数・意味

【貢挙】こうきよ

貢士

字通「貢」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の貢挙の言及

【科挙】より

…ただし宋以後の進士試験には,詩賦,策論の上に経書の意義を問う経義が加わったので,実質的には前代の秀才,明経の両科をも兼ねたものとなった。唐代には地方の州から推薦された郷貢の進士と,国立学校の生徒とが,中央の礼部で行う貢挙を受けて通過すれば,進士及第という資格を与えられたが,宋ではさらにその上に天子がみずから行う殿試を加え,ここに州試,礼部試,殿試の3段階制が成立した。また科挙を3年に1回挙行する制度も宋代に始まって後世に踏襲された。…

【進士】より

…ただし宋以後の進士科は詩賦のうえに,経義,策論をも試されるので,実質的には在来の明経,秀才の科をすべて包含したことになる。唐代の進士科には中央の学校の生徒と,各州が試験したうえで推薦した郷貢の進士とが応ずることができ,これらに対して中央政府が行う試験を貢挙,または省試と称した。貢挙は初め吏部のつかさどるところであったのを,のちに礼部の所管に改めたのは,それが就職試験ではなくて,資格試験であったからである。…

【吹挙】より

…その際提出する文書を挙状(こじよう)と称する。律令制下には官職の推挙を貢挙,薦挙などというのが普通であったが,平安時代以降に吹挙の語が多くなる。例えば1263年(弘長3)の公家新制において,諸国の国司に知行国主の家僕や任料を拠出した凡卑の輩が推挙され,あるいは僧綱(そうごう)に律師の任料を納めたものが吹挙されたといわれ,また他方,若狭国太良(たら)荘の百姓の地頭非法に対する訴訟が,本所の東寺の挙状により取り次がれていた(《東寺百合文書》)ように,吹挙の風は国制の中央から在地の民衆の世界にまで浸透し,ひとつの制度的慣行にまで転化していた。…

※「貢挙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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