改訂新版 世界大百科事典 「配位多面体」の意味・わかりやすい解説
配位多面体 (はいいためんたい)
coordination polyhedron
おもに無機物質,鉱物の結晶構造を剛体球の原子の集合とみなして考えたとき,陽イオンは一群の陰イオンによって取り囲まれている。この陰イオンの中心を結んでできる多面体を配位多面体と呼び,その数を配位数という。陽イオンと陰イオンの距離をほぼ等しいとし,〈すべての陰イオンが陽イオンに接している限り,陽イオンのまわりを取り囲む陰イオンの数はできるだけ大きくなる〉という経験則を受け入れると,配位多面体は陽イオンAと陰イオンXの半径の比rA/rXにより推定できる。もっとも小さいものは平面配位で3配位の三角形をつくる。さらにこの値の小さいものから順に四面体(配位数4),八面体(6),立方体また六面体(8),および立方八面体(12)の最密充てんをつくる。同じ6配位でも三角柱をつくるものなどがあり,理想的な正多面体のひずんだもの,配位数の中間の5,7配位のものもある。無機物質,鉱物の結晶構造はこれら多面体の連結したものとして考えると理解しやすい。
執筆者:武田 弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報