日本大百科全書(ニッポニカ) 「釈迦堂遺跡群」の意味・わかりやすい解説
釈迦堂遺跡群
しゃかどういせきぐん
山梨県甲州市と笛吹市にまたがる縄文時代中期を中心とした遺跡群。笛吹市の塚越北(つかごしきた)A地区では旧石器時代のナイフ形石器などの包含層、縄文時代早期、前期、中期の集落跡と後期敷石遺構と包含層、古墳時代後期の古墳が発見されている。また塚越北B地区では縄文時代早期、中期、後期の集落跡があり、後年地続きの釈迦堂遺跡博物館敷地内でも中期初頭の住居跡が検出されている。
甲州市の三口神平(さんこうじんだいら)地区では早期末の集落跡と中期の初頭から末までの集落跡が検出され、この集落跡は西側と北側に土器捨て場を持つという特色がある。また平安時代末の集落跡も検出されている。釈迦堂地区では奈良時代の土坑から鉄製人形等が出土している。
野呂原(のろのはら)地区は笛吹市の飛び地である。縄文時代中期の土器捨て場を持つ集落と平安時代の住居跡が検出されている。
釈迦堂遺跡群の大きな特色は1116固体もの国内最大量級の土偶が出土したことであり、その土偶は三口神平地区と野呂原地区で接合するなど土偶研究に新たな視点を与えたことである。土器、土偶、石器など5599点が国の重要文化財に指定されている。
[小野正文]