国指定史跡ガイド 「野上下郷石塔婆」の解説
のがみしもごういしとうば【野上下郷石塔婆】
埼玉県秩父郡長瀞(ながとろ)町野上下郷にある石造の供養塔婆(とうば)。この種のものでは国内最大であることなどから、1928年(昭和3)に国の史跡に指定。緑泥片岩製で、地上高537cm、最大幅120cm、厚さ12cm。同質の台石上に立ち、表面上部には釈迦如来、次に梵字(ぼんじ)で「願以此功徳、普及於一切、我等与衆生、皆共成仏」の光明真言の偈(げ)が4行にわたって刻され、銘によって、権少僧都大檀那道観、行阿、比丘尼妙圓、正家、正吉、結衆35人によって造立されたことが確認できる。下部には西暦1369年にあたる「応安二年己酉十月日」の年時が記されている。碑は「天道大日如来碑」とも称され、仲山城主・阿仁和直家のためにその遺族によって建立されたものといわれている。なお、この石塔婆は1892年(明治25)に国道140号の開通に際し、現在地に移されたものである。秩父鉄道秩父線樋口駅から徒歩約7分。