鐘ヶ岬(読み)かねがみさき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鐘ヶ岬」の意味・わかりやすい解説

鐘ヶ岬
かねがみさき

地歌(じうた)の曲名生田(いくた)流では『新娘道成寺(むすめどうじょうじ)』ともよぶ。舞を伴う。天保(てんぽう)年間(1830~44)の成立。作曲者には石川勾当(こうとう)説と菊岡検校(きくおかけんぎょう)説とがある。歌詞は長唄京鹿子(きょうがのこ)娘道成寺』の「鐘に恨みは」から「思い染めたが縁じゃえ」までをそのまま用い、同曲を初世中村富十郎が『九州釣鐘岬(かねがみさき)』として大坂で演じたときの踊り地が地歌に残ったといわれる。音楽的には長唄のような劇的展開はなく、テンポの変化の少ない類似した旋律とリズムの構成で、上方(かみがた)舞の美しさを表す音楽になっている。舞では、高島田髷(まげ)に振袖(ふりそで)とだらりの帯の扮装(ふんそう)が一般的。三味線(本手、替手)のみの場合と、箏(こと)や尺八を入れる場合とがある。荻江節(おぎえぶし)『鐘の岬』の歌詞も、地歌と同じ。

[茂手木潔子]

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