扮装(読み)フンソウ

デジタル大辞泉 「扮装」の意味・読み・例文・類語

ふん‐そう〔‐サウ〕【×扮装】

[名](スル)俳優が、その役柄らしく、身なりや顔かたちなどをつくり装うこと。また、その装い。一般に、ある人物などに似たかっこうをすることにもいう。「ピエロ扮装する」
[類語]擬装仮装変装やつす仮病やせ我慢

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精選版 日本国語大辞典 「扮装」の意味・読み・例文・類語

ふん‐そう‥サウ【扮装】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 身なりをよそおい飾ること。また、そのよそおい。いでたち。
    1. [初出の実例]「時々中国人に扮装して市中を廻った」(出典:上海(1928‐31)〈横光利一〉三三)
  3. 俳優がその役柄の人物に似せて衣服、顔かたちをよそおうこと。また、そのよそおい。
    1. [初出の実例]「代々の名優の工夫に成る一定の扮装、一定の動作」(出典:蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎〉一一)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「扮装」の意味・わかりやすい解説

扮装
ふんそう
disguise

俳優や舞踊家が劇中人物を表現するために,化粧施し衣装かつら仮面かぶりもの履物などを身に着けること。せりふやしぐさに先立ち,観客視覚に訴えて,その役の時代,地域,年齢職業地位性格などを説明するための重要な劇的要素。

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普及版 字通 「扮装」の読み・字形・画数・意味

【扮装】ふんそう

いでたち。

字通「扮」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の扮装の言及

【舞台衣裳(舞台衣装)】より

…その一つは歌手や演奏者が音楽会などで着用する場合であり,他の一つは演劇,舞踊,オペラ,ミュージカル等の〈舞台芸術〉で俳優や踊り手がその役柄を表現するのを外観から助けてゆくものである(なお,舞楽,能,狂言の場合は〈装束(しようぞく)〉という語を用いる)。
[舞台衣裳の役割]
 ここでは以下,〈舞台芸術〉の衣裳を中心に述べるが,舞台衣裳について考えるための出発点は,まず,舞台衣裳とは俳優の〈扮装〉に関して(もっとも)大きな部分を占めるものであるという点であろう。舞台衣裳の概念をさらに明確にするために,この〈扮装〉に含まれる種々の他の隣接要素を見てみると,まず〈メーキャップ(化粧)〉があり,特にその誇張されたものとしての歌舞伎,京劇の隈取りはよく知られている。…

【変装】より

…いずれにせよ,ここでの主題の女装・男装に限っていえば,それらはいわば〈両性具有〉という始原の神話の具象化であり,祭儀における女装・男装とは,そのような枢要な時空において,〈始原の力〉あるいは〈カオス(混沌)という膨大な可能性〉を利することによる,社会・文化の活性化であるといいうるだろう。先にあげたボガトゥイリョフはその著《チェコ人・スロバキア人の民衆演劇》(1940)のなかで,観客に最も強く訴える扮装手段の一つは女装・男装であるとし,12月6日の聖ニコラウス(サンタ・クロース)の祝日の前夜に行われるある村芝居では,ときに女装願望が行き過ぎて,演ずる若者たちが耳にイアリング用の孔をあけてしまうという〈熱中〉の例を紹介している。〈異性装〉はこのように,遊戯そのものとして追求される場合も多いが,それが圧倒的な力をもって人を魅するのも,いま述べたような始原の力と通じあうものであるからにほかならぬだろう。…

【メーキャップ】より

…演劇用語で,役柄に合わせた俳優の顔のこしらえのことをいう。
[近代以前]
 未開社会の儀式的芸能では,演者の変身をあらわすのに仮面を使うか顔を色模様で飾ることが多いが,演劇は初期形態から何らかの顔の扮装を伴ってきた。古代ギリシア演劇が仮面を使用したのは,伝説的に最初の悲劇俳優と伝えられるテスピスに始まるとされるが,ローマ演劇も基本的に仮面劇であった。…

※「扮装」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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