長尾坂(読み)ながおざか

日本歴史地名大系 「長尾坂」の解説

長尾坂
ながおざか

[現在地名]田辺市長野

潮見しおみ峠に至る熊野街道中辺路の坂。約一六町。険阻で知られる。潮見坂ともいい塩見と書くものもある。応永一六年(一四〇九)一二月六日の守護畠山満家に宛てた室町将軍家御教書(熊野速玉大社古文書古記録)によれば、当時「塩見坂」に地侍が関を設け、山中警護や寺社勧進のためと称して熊野参詣人から関銭を徴収、これを不都合とする熊野の訴えに応じて関を停廃するよう命じている。関所の位置は不明だが、あるいは潮見峠近くであったかもしれない(西牟婁郡中辺路町の→潮見峠

応永二五年四月、熊野社領田辺庄に対する守護畠山氏の侵犯から、熊野衆徒が神輿を動座、守護方と戦闘状態に入るが、「看聞御記」同月二四日条に「抑聞、熊野神輿奉振、紀伊国田那辺ニ発向、守護畠山右衛門督入道於此所防戦、然間田那辺ニ神輿振棄、熊野勢二里許引退、守護勢乗勝追懸、於山中嶮岨熊野勢返合責戦之間、守護打負、(中略)於山中被討侍名字七十余人、其外雑兵不知数云々、河内勢若干被討了、紀伊国人裏返守護打負云々」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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