潮見峠
しおみとうげ
槙山(七九五・八メートル)の南東に張出した尾根の鞍部にある。芝の小名峯と西谷の境で、標高およそ五四〇メートル。「続風土記」に「潮見峠といふは本宮の方より来るもの此地に至りて、始めて滄海を望むを以て潮見峰の名あるなり」と記される。峠は南北朝時代頃すでに開削されていたようで、国阿上人絵伝に「塩見峠、鹿か坂、全か坂といふハ第一の嶮難也」と記される。熊野参詣路である中辺路の田辺から高原に至る経路は、三栖川をのぼり富田川の岩田(現上富田町)から滝尻に出て高原に向かっていたが、南北朝期には上三栖(現田辺市)から潮見峠越で高原に至る経路が主路となった。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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