長峡県(読み)ながおのあがた

日本歴史地名大系 「長峡県」の解説

長峡県
ながおのあがた

「日本書紀」景行天皇一二年九月五日条にみえる地名。景行天皇は筑紫に巡行して周防灘沿岸の反対勢力を滅ぼした後、「豊前国長峡県」に至り行宮を建てたので、その地をみやこというとあり、京都みやこ郡の地名起源説話とされている。「豊後国風土記」大分郡条にみえる「豊前国京都行宮」も当地のことであろう。現大字長尾ながおがその遺称地とされる。なお「国造本紀」によると、令制の豊前・豊後両国(豊国)の領域には豊国造(「豊後国風土記」の豊国直にあたるか)のほか、宇佐国造・国前国造(国東郡)・比多国造(日田郡)がみえ、また「豊後国風土記」では大分郡を「碩田国」とも説明しているので、元来の「豊国」は豊前国北部、長峡川流域のこの「長峡県」を中心とした地域だとする説がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の長峡県の言及

【豊前国】より

…しかし最近の研究では,本来2国に分けるほどの広大な地域をもつ豊国はなかったとされる(《大分県史》)。豊国とは国名ではなく,大和朝廷といち早く交誼を結んだ村落国家的一地域に贈られた称辞で,その地域は現福岡県行橋(ゆくはし)市付近の長峡県(ながおのあがた)(京都(みやこ)郡)地方ではなかったかと推定されている。称辞の豊国を冠されたこの小地域には,後の豊前,豊後を合わせた広大な地域を支配しうる力はなかったし,豊国造の後継者や豊国直を名のった確実な人物は知られていない。…

※「長峡県」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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