防氷装置(読み)ぼうひょうそうち

改訂新版 世界大百科事典 「防氷装置」の意味・わかりやすい解説

防氷装置 (ぼうひょうそうち)

飛行中の航空機に氷が付着するのを防ぐための装置。気温が0~-20℃程度で過冷却状態の水滴のある雲の中を通ったりすると,機体前面の空気の当たる部分に氷が着き,翼型が変わって抵抗が増したり,ジェットエンジンに氷の破片が飛び込むなど不つごうなことが多い。これを防ぐための装置には加熱で着氷を防ぐ防氷装置anti-icing systemと,付着した氷を間欠的にはがす除氷装置de-icing systemの二つがある。翼の前縁の着氷に対してはエンジンの圧縮機で圧縮され高温になった空気の一部を前縁に導く防氷装置や,前縁にゴムブーツを張り高圧空気で起伏させて氷をおとす除氷装置が用いられるが,このほかグリコールなどの除氷液を前縁に流す機体もある。

 エンジンの空気取入口の着氷に対しては,取入口を圧縮機からの空気の熱または電熱で加熱して防氷することが行われ,ピトー管や風防ガラスは電熱する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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