ピトー管(読み)ピトーカン

デジタル大辞泉 「ピトー管」の意味・読み・例文・類語

ピトー‐かん〔‐クワン〕【ピトー管】

流速計一種。流れの総圧を計るための先端に穴をあけた管と、静圧を計るための側面に穴をあけた管とを用い、総圧と静圧の差から動圧を測定して流速を知る。フランス物理学者ピトー(Henri Pitot)が1728年に考案

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精選版 日本国語大辞典 「ピトー管」の意味・読み・例文・類語

ピトー‐かん‥クヮン【ピトー管】

  1. 〘 名詞 〙 ( ピトーは Pitot これを考案したフランスの物理学者の名から ) 流体の速さを測定する装置ベルヌーイ定理を応用したもので、L字形で、正面先端と側面に穴をあけた管を用い、これを流体に沿って置くと、正面の穴には流体の静圧と動圧の和が、側面の穴には静圧がかかるため、この両者圧力差をはかることで動圧が測定できる。大型航空機の対気速度計などに接続されている。〔電気工学ポケットブック(1928)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピトー管」の意味・わかりやすい解説

ピトー管
ぴとーかん

フランスのピトーHenri Pitot(1695―1771)によって1728年につくられた流速計の一種。速さvの流れの中に物体を置くと、流速がゼロの点ができ、その点をよどみ点という。ベルヌーイの定理によれば、密度変化をしない流体では、よどみ点の圧力p0は、密度をρとすると、
  p0p+(1/2)ρv2
で与えられる。ここに、右辺第1項は静圧、第2項は動圧で、左辺のよどみ点の圧力は、よどみ圧または総圧という。ピトー管はよどみ圧を測るようくふうされているもので、管を流れに向けて入れる。管の先端部の小さな穴のところでは、流速はゼロになっており、その点のよどみ圧は、管の空気を通して連通管一方の水にかかる。連通管の他方大気の圧力しかかかっていないので、連通管の水の高さの差hを測れば、よどみ圧を求めることができる。飛行機の翼や胴体の先端に取りつけて、よどみ圧と大気圧の差から、飛行機の速度を測るのに、主として利用されている。

池内 了]


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改訂新版 世界大百科事典 「ピトー管」の意味・わかりやすい解説

ピトー管 (ピトーかん)
Pitot tube

流体の粘性や圧縮性が無視できれば,1本の流線の上でベルヌーイの定理,が成り立つ。ただし,Ptは全圧(Pa),Psは静圧(Pa),ρは密度(kg/m3),vは流速(m/s)である。静圧は静止している流体中の物体に作用する圧力で,第2項は流れの速度が変わるとき,運動量の変化に基づく圧力で動圧という。動圧と静圧との和が全圧で,流れの中に静止した物体に作用する。

 ピトー管の構造を図に示す。先端部Aの圧力はピトー管によって流れが止められるので,v=0,その圧力は全圧に等しく,Bは流れの静圧を取り出す位置に開口しているからA,Bの2点の圧力差をとると動圧が得られる。すなわち,より,が求められる。構造では静圧を正確に取り出すために開口の位置や形状にくふうが加えられている。ピトー管はフランスのピトーHenri Pitot(1695-1771)によって最初につくられ,川の流速測定に使用された。JISで図の構造が定められた標準的流速センサーである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピトー管」の意味・わかりやすい解説

ピトー管
ピトーかん
Pitot tube

流れの総圧静圧の差をはかって動圧を求め,それから流れの速さを求める計器。ベルヌーイの定理によれば,1本の流線に沿って,流れの速さ q ,静圧 p の間には関係式 ρq2/2+pp0 ( p0 は一定,ρ は流体の密度) が成り立つ。図のような管の左端Aでは,流れはせきとめられて q=0 であるから,静圧は総圧 p0 に等しい。一方,側面の穴Bでは,速度は前方の流れの速さ q に等しくなっているから,圧力も前方の静圧 p に等しい。したがって,U字管の液面の差をはかってA,B点の圧力差 p0p を求めれば,流速 q は前式から, によって求められる。

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百科事典マイペディア 「ピトー管」の意味・わかりやすい解説

ピトー管【ピトーかん】

ベルヌーイの定理を用い流速を測る装置。重力を無視すれば一つの流線についてp+(ρv2/2)=C(p,ρ,vは流体中の静圧,流体の密度,流体の速度,Cは定数)が成り立つ。L字形の開管の一端を流れに向けると,よどみ点ができて総圧Cが測れ,これをピトー(総圧)管という。管の先端を閉じ側面に穴をあけると静圧pが測れる。両者を組み合わせ圧力差から速度vを求めるものをピトー(静圧)管という。風速計や飛行機の速度計にも利用。
→関連項目サルログ速度計マッハ計流速計

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化学辞典 第2版 「ピトー管」の解説

ピトー管
ピトーカン
Pitot tube

H. Pitotが考案した気体あるいは液体の流速u m s-1 を測定する計器.図(a)に示した一端Aの開いた管を流れに平行に置くと,Aより管内に入った流体はせき止められて,管内の圧力は流れの静圧Pと動圧ρ u2/2(ρは密度)との和,すなわち総圧を示す.この総圧を測る装置をピトー管という.図(b)は二重管の側壁にあけた孔Bより静圧を測定し,Aからとった総圧との差ρ u2/2を直接測定できるように工夫したもので,正しくはピトー静圧管というが,単にピトー管とよぶこともある.ピトー静圧管で求めた流速に,修正係数を掛けて補正する.この係数をピトー管係数という.

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