日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピトー管」の意味・わかりやすい解説
ピトー管
ぴとーかん
フランスのピトーHenri Pitot(1695―1771)によって1728年につくられた流速計の一種。速さvの流れの中に物体を置くと、流速がゼロの点ができ、その点をよどみ点という。ベルヌーイの定理によれば、密度変化をしない流体では、よどみ点の圧力p0は、密度をρとすると、
p0=p+(1/2)ρv2
で与えられる。ここに、右辺第1項は静圧、第2項は動圧で、左辺のよどみ点の圧力は、よどみ圧または総圧という。ピトー管はよどみ圧を測るようくふうされているもので、管を流れに向けて入れる。管の先端部の小さな穴のところでは、流速はゼロになっており、その点のよどみ圧は、管の空気を通して連通管の一方の水にかかる。連通管の他方は大気の圧力しかかかっていないので、連通管の水の高さの差hを測れば、よどみ圧を求めることができる。飛行機の翼や胴体の先端に取りつけて、よどみ圧と大気圧の差から、飛行機の速度を測るのに、主として利用されている。
[池内 了]