阿堵(読み)あと

精選版 日本国語大辞典 「阿堵」の意味・読み・例文・類語

あ‐と【阿堵】

〘名〙 (中国六朝時代の俗語で「あれ」「これ」の意)
① 「あとぶつ(阿堵物)」の略。
江都督納言願文集(平安後)二・同女御丈六堂「捨阿堵於旦千、瑩良金於丈六
② (中国、東晉画家顧愷之(こがいし)が、人を描いて目玉をつけないで、「伝神写照、正在阿堵中(この物の中にちゃんとある)」と言ったことから) 目玉のこと。
随筆山中人饒舌(1813)下「予蔵宮本武蔵画布袋和尚像。筆法雋穎、墨色沈酣、阿堵一点、奕々射人」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の阿堵の言及

【銭】より

…明銭の洪武通宝,永楽通宝,宣徳通宝などは中国銭のなかでも最も代表的なものである。中国渡来銭の流通が軌道に乗るようになると,室町時代には中国銭を形態のうえから阿堵(あと),鳥目(ちようもく),鵝眼(ががん)などと呼び,また使用の面から御脚,用途,料足などととなえるようになった。中国銭の国内通用が盛んになると,中国官鋳制銭をモデルにして造られた私鋳銭や模造銭が現れ,官銭は一般に良銭,精銭と呼ばれ,私鋳銭,模造銭は悪銭または鐚銭(びたせん)ととなえられた。…

※「阿堵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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