阿堵物(読み)アトブツ

デジタル大辞泉の解説

あと‐ぶつ【××堵物】

。お金。
[補説]中国六朝(りくちょう)時代の俗語で、このもの、の意。晋の王衍(おうえん)が金銭を忌んで呼んだところからという。

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大辞林 第三版の解説

あとぶつ【阿堵物】

ぜにの異名。阿堵。 〔中国、晋しん・宋時代の俗語で「このもの」の意。晋の王衍おうえんが「銭」の語を忌んで代えて用いたという「晋書王衍伝」の故事から〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

阿堵物
あとぶつ

(ぜに)の異名。「阿堵」は中国の晋(しん)・宋(そう)代の俗語で、「これ」「あの」などを意味し、「阿堵物」は、直接その物の名をいうのをはばかって、「あんなもの」「こんなもの」の意で用いられた。そして、後漢(ごかん)末から東晋(とうしん)にかけての名士の逸話集『世説(せせつ)新語』(宋の劉義慶(りゅうぎけい)編)の故事によって、銭の異称となった。同書「規筬(きしん)」上編に、晋の王衍(おうえん)(字(あざな)は夷甫(いほ))は性高雅で、妻の貪欲(どんよく)なのを憎み、かつて銭の字を口にしたことがなかった。そこで妻は夫を試そうと、下女に命じて、夫の寝室に銭をまき散らさせておいたが、朝目覚めた王衍は銭を見るや、下女をよんで「阿堵物をかたづけろ」と命じた、とある。[田所義行]

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精選版 日本国語大辞典の解説

あと‐ぶつ【阿堵物】

〘名〙 (中国、六朝時代の俗語で、「このもの」「こんなもの」の意。晉の王衍(おうえん)が金銭を忌んで「このもの」と言ったところから) 金銭のこと。阿堵。阿堵の物。
※蔗軒日録‐文明一六年(1484)五月二八日「是日諸隣賀儀之阿堵物、不受而返之」
※雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉上「一たび阿堵物を見れば、言語一変して」

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