国指定史跡ガイド 「陣山墳墓群」の解説
じんやまふんぼぐん【陣山墳墓群】
広島県三次(みよし)市四拾貫町・向江田町にある墳墓群。丘陵の尾根上から東側斜面にかけて築造された5基の四隅突出形(よすみとっしゅつがた)墳丘墓で構成され、1~5号墓の南北延長は約40m、東西幅は約8mである。墓域は1号墓と2~5号墓の2つに大きく分かれている。2~5号墓は同一区画内に規則正しく配列されているが、1号墓は2号墓の盛り土の下に築かれ、ほかの墳墓と主軸を異にしている。四隅突出形墳丘墓は、弥生時代中期後葉(1世紀)から古墳時代出現前(3世紀中ごろ)にかけて中国地方の山間部、山陰、北陸地域に分布するもので、陣山墳墓群からはこの地方の弥生時代中期後葉の標式土器である塩町(しおまち)式土器が出土していることから、限られた期間にこれらの墳墓が造られたものと考えられる。定型化していない墳墓形態から四隅突出形墳丘墓の起源を探るうえで貴重であり、2000年(平成12)に国の史跡に指定された。JR芸備線ほか三次駅から車で約11分。