陥・落入(読み)おちいる

精選版 日本国語大辞典 「陥・落入」の意味・読み・例文・類語

おち‐い・る【陥・落入】

〘自ラ五(四)〙
① 落ちて中にはいる。はまる。また、身を投げる。落ちる。
霊異記(810‐824)中「母の項(うなじ)を殺(き)らむとするに、地裂けて陥(ヲチイル)〈国会図書館本訓釈 陥 ヲチイル〉」
② まわりより低くなっている。穴になっている。落ち込む。深くへこむ。
源氏(1001‐14頃)紅葉賀「目皮(まかは)らいたく黒みおちいりて」
計略にかかる。はまる。
④ 攻め落とされる。落城する。陥落する。〔文明本節用集(室町中)〕
⑤ (多く「気、心、胸に落ち入る」などの形で) 納得する。なるほどと思う。
※歌舞伎・音聞浅間幻燈画(1888)序幕「いえ、お気にとっくり落入る様、よくお前から頼みまする」
⑥ 死ぬ。息を引きとる。息が絶える。
平家(13C前)一一「手負のただいまおちいるに、一日経書いてとぶらへ」
⑦ 好ましくない状態にはまりこむ。
※開化問答(1874‐75)〈小川為治〉初「実に弱ゐ人は詮方なく饑死でもすることに落入(オチイリ)ませう」
我等一団と彼(1912)〈石川啄木〉三「一旦さういふヂレンマに陥った者が」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android