我等(読み)ワレラ

デジタル大辞泉 「我等」の意味・読み・例文・類語

われ‐ら【我等】

[代]
一人称の人代名詞。「われ」の複数。わたくしたち。われわれ。「我等母校」「我等の自由」
一人称の人代名詞。単数を表す。わたくし。わたし
「この君の御夢―にとらせ給へ」〈宇治拾遺・一三〉
二人称の人代名詞。同等以下の者にいう語。おまえたち。
はてさて―は役に立たぬ」〈伎・姫蔵大黒柱
[補説]書名別項。→我等
[類語]私達私共手前共我我

われら【我等】[書名]

日本総合雑誌。大正7年(1918)の白虹事件により朝日新聞を退社した長谷川如是閑大山郁夫らが中心となり、大正8年(1919)に創刊。進歩的思想に基づいて社会批評を展開した。昭和5年(1930)「批判」と改題特高警察の弾圧などにより昭和9年(1934)2月廃刊

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精選版 日本国語大辞典 「我等」の意味・読み・例文・類語

われ‐ら【我等】

  1. 〘 代名詞詞 〙
  2. [ 一 ] 自称
    1. 「われ(我)」の複数。われわれ。わたくしたち。自分たち。
      1. [初出の実例]「なみだの色の くれなゐは われらが中の しぐれにて〈伊勢〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇〇六)
      2. 「我ら世にだにもあらば、是程の家一日に一つづつも造りけん」(出典:義経記(室町中か)五)
    2. 単数に用いる。われ。わたくし。
      1. [初出の実例]「このわれらが、中将なりしとき灌仏の童に出だされたりしかは」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)
      2. 「紅梅の枝にとび火や御用心 西雲、是を聞て、我等(ワレラ)も一句やってくれうと、紅梅のえだをしもくにずわいだぶつ」(出典咄本・露休置土産(1707)三)
  3. [ 二 ] 対称。同等もしくは、それ以下に用いる。おまえたち。
    1. [初出の実例]「はて扨汝等(われら)は役に立たぬ」(出典:歌舞伎・姫蔵大黒柱(1695)一)

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改訂新版 世界大百科事典 「我等」の意味・わかりやすい解説

我等 (われら)

大正から昭和初期の高級評論雑誌。1918年の〈白虹事件〉で大阪朝日新聞社を退いた長谷川如是閑が1919年2月,大山郁夫,井口孝親らと我等社をつくって創刊した。丸山幹治,伊豆富人,大庭柯公らが参加した。《我等》は長谷川のユニークな社会,新聞論,大山の政治批判,また初期マルクスの翻訳紹介なども行い,20年代の日本の思想・文化に大きな足跡を残した。30年3月に一時終刊(通巻128号),嘉治隆一,新明正道らの《社会思想》(1922年4月~29年12月)と合併する形で,同年5月《批判》(月刊)と改題して再出発した。果敢なファシズム批判を続けたが,時流に抗しきれず,34年2月に廃刊した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「我等」の意味・わかりやすい解説

我等
われら

1919年(大正8)2月創刊された大正デモクラシーを代表する総合雑誌。ロシア革命や米騒動の影響を受けて世情騒然たる1918年、『大阪朝日新聞』は右翼と政府の集中攻撃を受け、同紙の花形記者であった長谷川如是閑(はせがわにょぜかん)、大山郁夫(いくお)ら数名が退社した。長谷川らは「我等はいま何をなすべきか」という立場から我等社をつくって進歩的論陣を張った。30年(昭和5)2月終刊、同年5月『批判』と改題したが、特別高等警察などの弾圧で34年2月廃刊した。

[松浦総三]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「我等」の解説

我等
われら

大正・昭和期の評論雑誌。1918年(大正7)白虹(はっこう)事件で大阪朝日新聞社を退社した長谷川如是閑(にょぜかん)が,翌年2月に大山郁夫・丸山幹治らと創刊。マルクス主義文献の紹介に努め,社会主義思想の流行をもたらした。またファシズム批判の論説などを掲げたが時流に抗しきれず,30年(昭和5)3月に終刊。同年5月「批判」と改題して再出発した。

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世界大百科事典(旧版)内の我等の言及

【長谷川如是閑】より

…15年社会部長のときに全国中等学校優勝野球大会を発足させた。18年白虹事件の弾圧に抗して退社,19年大山郁夫,井口孝親らと我等社を設立し,雑誌《我等》(1930年《月刊批判》と改題)を創刊した。後に《現代国家批判》《現代社会批判》などにまとめられる鋭利でユニークな批判・言論活動を展開し,とくに,送り手の意識のありようにジャーナリズムの本質をみる独自の〈新聞〉理論を打ち立てた。…

※「我等」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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