日本歴史地名大系 「雪窓夜話」の解説
雪窓夜話
せつそうやわ
一〇巻五冊 上野忠親著
成立 延享三年―宝暦二年か
写本 鳥取県立図書館
解説 上野忠親は藩主池田光仲の側室上野厚恩院の甥で、八歳のとき山城伏見から鳥取に来て上野家を興し、禄高六〇〇石を受け宝暦五年に七二歳で没した。「勝見名跡誌」「武士言草」「木鼠翁随筆」「陟語林」など多くの著書がある。「雪窓夜話」はいったん散失したあと滝勝胤によって再編されたと「鳥府志」に記される。昔話・怪談・世間の噂など、当時の幅広い職業・階層の聞書を記している点に特色がある。二二四条のうち一巻(二九条)と二―四巻(一〇条)の計三九条には「因府夜話ニ有之故略之」という但書がある。また「因府夜話」にみえる話題を増補、または異文で記したものが六四条あることから、延享二年五九歳で没した佐藤長通のまとめた二九条、その息子長健(「因府録」の作者)によって書継がれた一四〇条を合して作られた「因府夜話」の影響を受けて書かれたことがわかる。
活字本 「雪窓夜話抄」上下・因伯叢書三
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報