日本大百科全書(ニッポニカ) 「電力用コンデンサー」の意味・わかりやすい解説
電力用コンデンサー
でんりょくようこんでんさー
高圧、あるいは特別高圧に使用されるコンデンサー。力率の改善や電圧の調整に使われる。
[岡村正巳]
力率の改善
電力を消費する機器(負荷という)は一般に誘導性のもの、つまり電流の位相が電圧の位相より遅れるものが多い。一方送電損失は、電流の位相が電圧の位相と一致するとき(この状態を力率1、あるいは力率100%という)にもっとも小さくなる。電力用コンデンサーに流れる電流の位相は、電圧の位相よりほぼ90度進んでいるので、一般の負荷と並列に接続すると、合成された電流の位相は電圧の位相に近づく。すなわち力率1に近づく。このようなことを力率の改善といい、電力用コンデンサーの使用目的の一つとなっている。
[岡村正巳]
電圧の調整
電力系統にコンデンサーを並列に接続すると、電圧は上昇する。それは、コンデンサーに流れる電流の位相が、電圧の位相より90度進んでいることによる。逆に、接続されていたコンデンサーを切り離すと、電圧は低下する。このような性質を利用して電圧の調整を行うが、力率の改善と並んで、電力用コンデンサーの重要な用途となっている。
[岡村正巳]