知恵蔵の解説
発売メーカーによっては「コピー黒板」「コピーボード」と名を変えるが、基本的な機能は同じである。ボード面は大別するとフィルム型、スチール型の2種類がある。フィルム型はホワイトボードがフィルム状になっていて、印刷ボタンを押すとボード(フィルム)が横に移動し、巻き取り部分にあるスキャナーがデータを読み込む。スチール型ではボード上をスキャナーが移動して情報を読み込む。フィルム型とスチール型の一番の違いは、スチール型であればマグネットではり付けた資料などボード上にある情報なら何でもまるごとスキャンして出力できる点である。それまではボード上の内容を残すには、メモを取るか、ボードごとカメラで撮影して写真として残すくらいしか方法がなかったが、この「コピーの取れるホワイトボード」があれば、板書漏れもなく、その場にいなかった大勢の人との情報共有も可能となる。
教育現場やオフィスで注目される電子黒板だが、中でもIT教育(最近ではICT=Information Communication Technologyと呼ぶことが多い)の最先端をゆく欧米の学校で導入されているのは「インタラクティブ・ホワイトボード」と呼ばれるものである。インタラクティブ(相互作用の、双方向の)という名の示す通り、プロジェクターなどを利用してホワイトボード上にコンピューター画面を投影できるだけでなく、タッチパネルと同様に、ボード上での操作(付属ペンなどを使用した黒板同様の書き込みなど)をコンピューター上に入力できるのが特長だ。機能面の類似上、いわゆるホワイトボード型だけでなく、大画面の液晶ディスプレイ型タッチパネルも「電子黒板」に含めることもある。いずれの形態であっても「インタラクティブ」タイプであれば一人ひとりがそれぞれコンピューターに向かうのではなく共有して学ぶことができるので、集団での交流やコミュニケーションが盛んになる。
麻生内閣時、経済危機対策の平成21(2009)年度大型補正予算に、ICT環境整備が盛り込まれたため、日本の公立小中学校でも電子黒板の導入が進んだが、現状は小中学校1校当たりに1台程度。しかも行政刷新会議が下した事業仕分けにより補正予算も廃止されたため、今後の活用については不透明な状況と言わざるを得ない。
(西村由起子 ライター / 2010年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報