非晶質半導体(読み)ヒショウシツハンドウタイ(その他表記)amorphous semiconductor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「非晶質半導体」の意味・わかりやすい解説

非晶質半導体
ひしょうしつはんどうたい
amorphous semiconductor

アモルファス半導体ともいう。非晶質の固体のうち,温度上昇とともに電気伝導度が半導体的性質を示すものをいう。カルコゲン元素,あるいはこれと IV族,V族元素の混ざり合ったカルコゲン系非晶質半導体と,ゲルマニウムシリコンなど IV族元素のみの非晶質半導体がある。原子配列が長距離秩序をもたないためバンド構造は定義できないが,結晶半導体の禁制帯に相当するものが存在する。光吸収による電子・正孔対生成や,電気伝導度がボルツマン定数kB として exp (-E/kBT) ( E は活性化エネルギー,T は絶対温度) に比例して変化するなど,結晶半導体に似た性質をもっている。スイッチングやメモリ特性を利用した電子素子,あるいは光による非晶質の構造変化を利用した記憶素子などへの応用がある。また,p-n接合やショットキー障壁を用いる光起電力効果も発生する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android