改訂新版 世界大百科事典 「飼付漁場」の意味・わかりやすい解説
飼付漁場 (かいつけぎょじょう)
魚群の集まりやすい海底の礁の上に撒餌(まきえ)をして,回遊してきた魚群をそこにとどめておき,釣りまたははえなわで漁獲する。撒餌によって魚群をとどめておくところを飼付漁場,この漁場で行う漁業を飼付漁業という。ブリ,ボラなどを対象とする。餌としては冷凍のサンマ,サバ,イワシなどを用いる。和歌山県のブリ飼付漁業の場合,水深70~90mで周辺が砂地の高さ10~20mの底島や沈船のある場所で,例年ブリ群がよく来遊するところを選び,連日,中層に撒餌して,ブリ群をその底島付近に滞留させ釣りあげる。漁期は9月から翌年4月(盛期は冬)。佐賀県のボラ飼付漁業の場合は,ボラが集まりやすい水深が10~15mでこう配のゆるやかな礫地(れきち)や砂地で貝殻などがある場所を飼付漁場とする。この漁業は九州をはじめ日本南西部に多い。
執筆者:清水 誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報