漁業が成立する期間。それが成立するためには,対象となる生物がある密度以上存在するという自然条件と,生産した生物が採捕のコスト以上の値で売れるという社会経済的条件の双方が満たされなければならない。魚がたくさんいても売れなかったり,遠くてコストがかかりすぎたりすれば,その魚を対象とする漁業は成立しない。魚をはじめ水生生物は一般に,季節的にまた成長段階に応じて大なり小なり回遊をするので,人間にとって採捕につごうのいい水域に,漁獲対象となる魚(以後,魚で水生生物を代表させる)がある密度以上になる時期は限られることが多い。産卵のためあるいは索餌のため来遊した魚群を対象として漁業が行われる。また一年中同じ水域にいるものでも,季節的に味に変化があり,商品として値がよいときにとることが多い。こういう場合も漁業が成立するのはある期間だけである。このように,対象とする生物によって,またその漁法によって漁業が成立する時期がある。
サケのように,秋から冬にかけて産卵のため河川に遡上(そじよう)するものを対象とする漁業の漁期は,この遡上期である。またサンマでは魚群がだんだん北海道から南下してくるので,漁期は北海道では8月,東北では9~10月,関東では11月というように地域で変わってくる。
漁期の中で最初の時期を初漁期(あるいは始漁期),最も盛んな時期を盛漁期,終了する時期を終漁期という。魚がある密度以下になって漁業が引き合わなくなれば,漁期は終わったのである。資源的にも経済的にも漁業が成立する条件はあっても,別のもっと有利な漁業が始まればそちらに移るので,前の漁業の漁期は次の漁業によって決められることになる。例えば,三浦のカツオの生餌をとるイワシ巻網漁業は,サンマ漁が始まると乗組員がそちらに移るので終りになる。
資源保護を目的として人為的に漁期を決める場合もある。繁殖期を対象とすることが多いが,漁業者間の約束,県条例,あるいは国際間の取決めなどで禁漁期を設定するのがこれである。
執筆者:清水 誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
有用な水産生物をとるのに適した時期をいい、「りょうき」ともいう。設定されている漁業あるいは漁獲物について、実際に漁獲しうる期間をいい、資源保護のために禁漁期が設定されている漁業では法的に漁獲が認められている期間である。漁獲対象となる水生生物は、一年中同じ割合でとれるわけではなく、ある時期に多量に漁獲されることが多い。その初期を初漁期、もっとも多くとれる時期を盛漁期、漁期の終期を終漁期という。一般に魚貝類は抱卵期が、海藻類は繁殖期が好漁期となる。また、漁期は種類あるいは漁業ごとに毎年ほぼ一定しているが、海況の変動などで多少のずれがある。たとえば回遊性の魚類では、地方によって漁期が異なり、サンマの例では北海道で8月、東北地方で9、10月、千葉県から静岡県地方では11月と漁期が南下する。また、ブリなどのように1年のうちに北上期と南下期の二度漁期となる地方もある。
[吉原喜好]
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