首提灯(読み)くびぢょうちん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「首提灯」の意味・わかりやすい解説

首提灯
くびぢょうちん

落語酩酊(めいてい)した町人武士に道を聞かれるが、酔っぱらいは相手を田舎(いなか)侍とみてさんざん侮辱する。侍は刀の柄(つか)に手をかけると居合腰で酔っぱらいの首を切った。その切り方があまりにもみごとであったので、酔っぱらいは首を切られたことに気がつかない。歩いて行くと首が自然に左へ回ってしまう。元へ戻してもすぐ左へ回る。そのうちにつまずいて首が前に落ちそうになり、初めて切られたことに気づく。そのとき半鐘が鳴りだして火事騒ぎとなる。人ごみのなかで首が落ちそうになるので自分の首を提灯に見立て両手で差し上げながら、「はいごめんよ、はいごめんよ」。小咄(こばなし)程度の短い咄であったのを4代目橘家円蔵(たちばなやえんぞう)がくふうして一席物にまとめた。首や胴が切られても活動するという奇抜な発想がおもしろく、この種の咄はほかに『胴取り』『胴斬(ぎ)り』などが現代に残されている。

[関山和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「首提灯」の解説

首提灯

古典落語演目ひとつ。五代目三遊亭圓生から六代目三遊亭圓生に受け継がれた。

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世界大百科事典(旧版)内の首提灯の言及

【落語】より

… まわり落ち猫の名をつけようと,猫よりも強い者をさがすうちに元の猫に戻るといったような型。 見立て落ち切られた自分の首を提灯(ちようちん)のように持ち,〈はいごめんよ〉と走る《首提灯》のように,突拍子もないものを,あるものに見立てる型。【興津 要】。…

※「首提灯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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