半鐘(読み)ハンショウ

デジタル大辞泉 「半鐘」の意味・読み・例文・類語

はん‐しょう【半鐘】

釣鐘の小さいもの。本来寺院陣中などの合図に用いたが、江戸時代から火の見やぐらにつるし、火災・洪水・盗賊などの非常時に鳴らすようになった。
紋所の名。1図案化したもの。
[類語]合図信号シグナルサイン手招き目配せウインク片目をつぶる暗号目交ぜ目印合い印標識狼煙のろし烽火号砲警鐘振鈴

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精選版 日本国語大辞典 「半鐘」の意味・読み・例文・類語

はん‐しょう【半鐘】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 釣鐘の小形のもの。昔は寺院または陣営での合図に使用したが、後、火の見やぐらの上などに取付け、火災などの通報に打ちならして用いる。
    1. [初出の実例]「小鈞鐘・半鐘と云ふ得心衆」(出典:雑俳・銭ごま(1706))
  3. 自鳴鐘(じめいしょう)などに取付けられた鐘。
    1. [初出の実例]「はや半鐘(ハンシャウ)の声きこへて」(出典:浮世草子・近代艷隠者(1686)三)
  4. 紋所の名。を図案化したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「半鐘」の意味・わかりやすい解説

半鐘
はんしょう

火事天災泥棒などを知らせるために打つ鐘。青銅製で、寺院の梵鐘(ぼんしょう)に比べて小さいため半鐘という。それ以前は厚板の板木(ばんぎ)を使って寄合などの連絡にも使っていたが、江戸時代に火消(消防組)が組織されるようになって半鐘が普及した。梯子(はしご)の上に取り付けたものから、櫓(やぐら)を組むものになり、鉄製の櫓に取り付けたものはいまも残っている。たたく数によって事件の内容を示す。火事の場合、近火は連打スリバン)、以下遠くなるにしたがい打数を減らした。そばに消防ポンプなどを納めた小屋を設けたものが多い。いまはサイレンなどの通報手段が普及し、実用性を失った。

[井之口章次]

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世界大百科事典(旧版)内の半鐘の言及

【喚鐘】より

…半鐘(はんしよう),小鐘(しようしよう),報鐘(ばうちよん),犍稚(けんち)ともいい,仏教で用いる鳴物(楽器)の一種。青銅鋳造製で梵鐘の小型のもの。…

※「半鐘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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