日本大百科全書(ニッポニカ) 「駝山石窟」の意味・わかりやすい解説
駝山石窟
ださんせっくつ
中国、山東省益都(えきと)県の南7キロメートルにある隋(ずい)から盛唐にかけての石窟寺院。朱家荘、王家荘の村落を挟んで雲門山石窟と相対している。山頂には昊天宮(こうてんきゅう)の廃址(はいし)があり、この道観に登る山道を中腹で左に折れると、南側の断崖(だんがい)に臨んで石窟が点々と並ぶ。東から順に第1窟(唐窟)、第2窟(隋(ずい)窟)、第3窟(隋窟)、第4窟(隋窟)が並び、摩崖仏像群を挟んでさらに第5窟(唐窟)がある。第1、第2、第3窟はいずれもできがよく、第4、第5窟はやや劣る。第3窟の本尊坐仏(ざぶつ)は駝山石窟のうちもっとも大きく、脇侍(きょうじ)の二菩薩(ぼさつ)を含め、量感に満ちた整斉な隋代彫刻の特色をもつ優秀な像で、壇の中央には「大像主青州総管柱国平桑公」の銘がある。
[吉村 怜]