骨・関節結核(読み)こつ・かんせつけっかく

六訂版 家庭医学大全科 「骨・関節結核」の解説

骨・関節結核
こつ・かんせつけっかく
Bone and joint tuberculosis
(呼吸器の病気)

 近年減っています。結核脊椎炎(せきついえん)脊椎カリエスとも呼ばれ、いまだに忘れてはならない病気です(図25)。

 脊椎カリエス胸腰椎部(きょうようついぶ)に好発します。通常、腰痛、微熱、食欲不振など症状は軽微です。診断はX線MRI、CT検査で椎体骨萎縮(ついたいこついしゅく)・破壊・吸収像と椎体骨前縁からまわりの炎症像(膿瘍(のうよう))を検出します。時に、後腹膜(こうふくまく)内にうみが下降して膿瘍を形づくります(流注膿瘍という)。進行すると椎体骨が破壊されて、猫背(ねこぜ)と膿瘍、脊髄麻痺(せきずいまひ)とが現れます。

 結核性関節炎()関節、(ひざ)・足・肩・手・仙腸(せんちょう)関節に生じやすく、同時に発症する多関節結核はまれです。関節のはれ、運動制限、痛みが早期に現れます。診断は、関節液内の結核菌の証明や、関節滑膜(かんせつかつまく)生検(組織をとって調べる検査)で結核菌の感染に特徴的な病理組織像を得ることで行われます。進行すると、関節が強直(きょうちょく)(硬くこわばる)します。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「骨・関節結核」の意味・わかりやすい解説

骨関節結核
こつかんせつけっかく

骨(こつ)結核と関節結核の総称で、普通は肺の結核病巣から二次的に血行性に結核菌が骨あるいは関節に沈着して発生すると考えられている。したがって、肺結核の少なくなった現在は非常に減少した。

 骨結核脊椎(せきつい)骨に好発する。結核性脊椎炎といい、一般には脊椎カリエスとよばれる。また手の指骨の結核は風棘(ふうきょく)とよばれる。これは幼児に多くみられる。

 関節結核は上肢および下肢の大関節にみられるが、とくに股(こ)関節、膝(しつ)関節に好発する。関節結核の場合は、治癒しても関節の機能障害を残すのが普通である。

 骨関節結核の治療は、まず局所の安静が必要であり、そのためにギプス固定、コルセット、関節固定装具などが用いられる。同時に化学療法などの結核治療も行われ、また手術的根治療法が行われることもある。

[永井 隆]


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