内科学 第10版 「骨髄生検の方法」の解説
骨髄生検の方法(骨髄穿刺・生検)
骨髄生検は骨髄穿刺と類似の手法であるが,より大型の専用針を用いて穿刺部の骨片をそのまま削取することから侵襲がやや大きい.しかし骨髄穿刺で検体が採取できない場合(dry tap吸引不能という)には必須である.ほかに造血能の評価や悪性腫瘍の浸潤を確認するときも骨髄生検の併用が望ましい.骨髄生検の利点を表14-5-2に示す.骨髄疾患の初回診断時には積極的に骨髄生検を併用することが望ましい.
採取部位には通常後腸骨稜が選択される.骨髄穿刺と同様に進めるが,生検針が自立した時点でさらに少し押し進めて,先端が骨皮質を貫通して髄腔内に達したと思われたポイントで内針を抜きとり,外套のみを左右交互に半回転させながら髄腔中を3 cm程度圧進する.ここで外套を数mm戻して針全体を左右に激しく振り動かして,外套先端の骨髄組織を旋断し,外套内に捕捉された切断片を回収する.採取された骨髄片はホルマリンまたはブアン液固定にまわすが,特にdry tapの場合は固定液に入れる前に適宜スタンプ標本を作製しておくと細胞学的評価に有用である.[通山 薫]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報