改訂新版 世界大百科事典 「骨髄穿刺」の意味・わかりやすい解説
骨髄穿刺 (こつずいせんし)
bone marrow aspiration
血液や骨髄などの病気を診断するために,骨髄に針を刺して骨髄液を調べる検査法。ヒトの血液細胞は,骨髄で幼若な細胞(造血細胞)が分裂・増殖・成熟して血液中へ流れ出てきたものである。種々の血液疾患や骨髄に特徴的な変化をきたす病気では,血液検査のみでは情報が不十分のことが多い。そこで,骨髄穿刺によって骨髄中の細胞を得て,その数や性状を検査することが必要となる。具体的には,胸骨または腸骨の所定の部位の皮膚を消毒し,局所麻酔を骨膜まで施したうえ,骨髄穿刺針を押し回しながら骨髄腔へとすすめ,注射器を接続して陰圧をかけて吸引すると少量の穿刺液(骨髄細胞に富む血液)を得る。この穿刺液について,塗抹染色標本や組織切片標本を作成して骨髄像を判定する。なお,骨髄穿刺で十分な情報が得られない場合や,骨髄の組織学的構築を調べる必要のある場合には,骨髄生検がほぼ同様の手続きで行われ,骨髄穿刺と併用されることも多い。
→骨髄像
執筆者:多久和 典子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報