外套(読み)ガイトウ

デジタル大辞泉 「外套」の意味・読み・例文・類語

がい‐とう〔グワイタウ〕【外×套】

防寒などのため、衣服の上に着るゆったりした外衣オーバーマント二重回しなどの類。 冬》「―のボタン手ぐさにただならぬ世/草田男
[補説]作品名別項。→外套
[類語]コートオーバーマントケープガウン被布合羽

がいとう【外套】[曲名]

《原題、〈イタリアIl tabarroプッチーニ作曲のイタリア語によるオペラ。全1幕。1918年初演。フランスのパリを舞台に、セーヌ川の荷船の船長と若い妻、および妻の不倫相手である部下若者をめぐる愛憎を描いた作品。

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精選版 日本国語大辞典 「外套」の意味・読み・例文・類語

がい‐とうグヮイタウ【外套】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 防寒、防雨のため、衣服の上に着る衣類。オーバーコート、マント、二重まわしなどの類。《 季語・冬 》
      1. [初出の実例]「仁斎隠几閲書、一言不之答。直卸其所著外套、以授妻」(出典:先哲叢談(1816)四)
      2. 「外套(〈注〉ハヲリ)の殊に長きは、必ず是れ塩冶判官が旧着」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)初)
    2. ものの外側をおおうもの。
      1. [初出の実例]「窯内に磁器をいるるには、堅泥を以て外套を造る」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉二)
    3. がいとうまく(外套膜)」の略。〔動物小学(1881)〕
  2. [ 2 ] ( 原題[ロシア語] Shinjel' ) 短編小説ゴーゴリ作。一八四二年発表。下級官吏アカーキー=アカーキエビチのみじめな日常を描き、ユーモア風刺の中に作者の深い同情がこめられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「外套」の意味・わかりやすい解説

外套(ゴーゴリの小説)
がいとう
Шинель/Shinel'

ロシアの作家ゴーゴリの中編小説。1842年刊。書類を浄書することしか能のない貧乏な小役人アカーキイ・アカーキエビチ・バシュマーチキンがさんざん無理をして新調した外套を一夜にして追いはぎに奪われ、その捜索の斡旋(あっせん)を頼みに行ったさる「有力者」にも一喝されたあげく絶望して死ぬ。その後、彼の幽霊が、奪われた外套を求めて市中に出没する。ゴーゴリのいわゆる「ペテルブルグもの」の最大傑作で、虐げられた下層の人々に対するモラリスティックな同情は後のロシア文学の特徴的なテーマの一つとなった。この物語を社会的プロテストとみるか、あるいは作者の想像力の産物とみるか、評価はさまざまだが、いずれにせよこの小説の最大の魅力が、作者とは別の語り手の、ふんだんに地口を利かせた、やや皮肉な、しかしけっして温かな人間味を失わない、語り口そのものにあることは疑いがない。

[木村彰一]

『平井肇訳『外套・鼻』(岩波文庫)』


外套(オーバーコート)
がいとう

オーバーコート

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外套」の意味・わかりやすい解説

外套
がいとう
Shinel'

ロシアの作家 N.ゴーゴリの短編小説。 1842年発表。いわゆる「ペテルブルグもの」と称される彼の作品系列のなかで最も重要な作品。貧しい小役人のアカーキー・アカーキエビッチは,やっとの思いで外套を新調した。だがそのためにひやかし半分の祝宴に引出され,無理に酒を飲まされたあげく,帰途,強盗に襲われて外套は盗まれてしまう。警察にも相手にされず,ある「重要人物」に願い出たが追返される。気落ちした彼は病気になり,寂しく死んでいく。彼の死後,官吏から外套を引きはがす幽霊が出るようになった。幽霊は最後に「重要人物」の馬車を襲って消える。ゴーゴリは「涙を通しての笑い」を通じて,「ちっぽけな人間」も「人間」であることを訴え,当時の読書界に大きな感銘を与え,その後のロシア文学の発展に多大の影響を及ぼした。

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改訂新版 世界大百科事典 「外套」の意味・わかりやすい解説

外套 (がいとう)

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デジタル大辞泉プラス 「外套」の解説

外套

イタリアの作曲家ジャコモ・プッチーニのイタリア語による全1幕のオペラ(1918)。原題《Il tabarro》。パリ、セーヌ川の荷船の船長とその妻をめぐる愛憎をショッキングに描いた作品。

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普及版 字通 「外套」の読み・字形・画数・意味

【外套】がいとう

清の盛服。

字通「外」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の外套の言及

【コート】より

…最も外側に着用する,袖のついた長い丈の衣服。日本では外套ともいう。語源は,西ヨーロッパ中世に着用されたコットcotteに由来する。…

【ゴーゴリ】より

…《ミルゴロド》では空虚な人間精神に対する恐怖がユーモアの底に秘められ,〈ペテルブルグもの〉では,醜悪で卑俗な現実に対する風刺や憎悪と,その現実に敗れていく〈小さな人間〉の心の痛みとが〈涙を通しての笑い〉で描かれている。その最高傑作が《外套》(1842)である。しかし,官僚社会の悪を徹底的に暴いた戯曲《検察官》(1836初演)が賛否の激しい論争を巻き起こしたため,ゴーゴリは外国旅行に出た。…

※「外套」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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