デジタル大辞泉 「外套」の意味・読み・例文・類語
がい‐とう〔グワイタウ〕【外×套】
[補説]作品名別項。→外套
[類語]コート・オーバー・マント・ケープ・ガウン・被布・合羽
ロシアの作家ゴーゴリの中編小説。1842年刊。書類を浄書することしか能のない貧乏な小役人アカーキイ・アカーキエビチ・バシュマーチキンがさんざん無理をして新調した外套を一夜にして追いはぎに奪われ、その捜索の斡旋(あっせん)を頼みに行ったさる「有力者」にも一喝されたあげく絶望して死ぬ。その後、彼の幽霊が、奪われた外套を求めて市中に出没する。ゴーゴリのいわゆる「ペテルブルグもの」の最大傑作で、虐げられた下層の人々に対するモラリスティックな同情は後のロシア文学の特徴的なテーマの一つとなった。この物語を社会的プロテストとみるか、あるいは作者の想像力の産物とみるか、評価はさまざまだが、いずれにせよこの小説の最大の魅力が、作者とは別の語り手の、ふんだんに地口を利かせた、やや皮肉な、しかしけっして温かな人間味を失わない、語り口そのものにあることは疑いがない。
[木村彰一]
『平井肇訳『外套・鼻』(岩波文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…最も外側に着用する,袖のついた長い丈の衣服。日本では外套ともいう。語源は,西ヨーロッパ中世に着用されたコットcotteに由来する。…
…《ミルゴロド》では空虚な人間精神に対する恐怖がユーモアの底に秘められ,〈ペテルブルグもの〉では,醜悪で卑俗な現実に対する風刺や憎悪と,その現実に敗れていく〈小さな人間〉の心の痛みとが〈涙を通しての笑い〉で描かれている。その最高傑作が《外套》(1842)である。しかし,官僚社会の悪を徹底的に暴いた戯曲《検察官》(1836初演)が賛否の激しい論争を巻き起こしたため,ゴーゴリは外国旅行に出た。…
※「外套」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加