改訂新版 世界大百科事典 「高霊古墳群」の意味・わかりやすい解説
高霊古墳群 (こうれいこふんぐん)
Koryǒng kobungun
韓国,慶尚北道高霊郡高霊面に所在する。高霊は大伽耶国(高霊加羅)の王都であって,562年に新羅に併合されるまでは,伽耶文化の中心地であった。古墳群は,洛東江の支流大伽川,安川流域の月山洞,本館洞,池山洞,古衙洞に分布している。1910年以来,分布調査や10基余りの古墳の発掘がおこなわれている。百数十基からなる池山洞古墳群は,標高311mの主山南腹に築かれ,竪穴式石室,箱式石棺を内部構造とする円墳群であり,わずかに1基横穴式石室墳が知られている。1977-78年に調査された池山洞44号墳は,一墳丘内に主・副の竪穴式石室3基と,その周囲に32基の石槨を配したもので,22体以上の人骨が検出された。出土状態などから殉葬墓と推定されている。45号墳も,2基の竪穴式石室と11基の石槨で構成される多葬墓である。いずれも5世紀代の築造とみられる。このほか古衙洞では,蓮華文の描かれた壁画古墳が発掘されている。
執筆者:東 潮
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報