魏氏楽譜(読み)ぎしがくふ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「魏氏楽譜」の意味・わかりやすい解説

魏氏楽譜
ぎしがくふ

日本で刊行された明楽の譜。明和5 (1768) 年刊。明の末,長崎に亡命した魏侯 (之 琰) が伝えた明の俗楽を,その子孫皓 (子明,君山) が宝暦,明和の頃京都を中心に普及させた際,門人の増加に伴い,受学者の便宜をはかって平信好 (師古) が編集,刊行した楽譜で,明楽約 200曲中 50曲を収める。各曲は,唐音のかな付けをした歌詞を音の長短に応じて桝目内に収め,その右側に笛の工尺譜を記す余白を残す。工尺譜は受学者が伝を受けた際書写するが,なかには,工尺譜のほか箏,笙,鼓の譜などを書入れた楽譜もある。

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世界大百科事典(旧版)内の魏氏楽譜の言及

【明清楽】より

…魏双侯の曾孫の魏皓(ぎこう)(字は子明,?‐1774)も1770年(明和7)前後の10年あまりを京都に居住し100人以上の弟子を育て貴族諸侯の愛好を得た。1768年に江戸,京坂で刊行された《魏氏楽譜》には伝来の200余曲中,50を収める。《賀聖朝》など雅楽的色彩が濃く歌い出しが終止音と同音の小曲が多い。…

※「魏氏楽譜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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