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楽譜 がくふ music notation; musical score

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

楽譜
がくふ
music notation; musical score

音楽作品を一定の記譜法に従って記したもの。楽譜自体はあくまでも音楽作品ではなく,楽曲を再現し,伝達するよりどころにすぎない。楽器の発達,音楽理論の発展に伴いさまざまな記譜法によって楽譜の形態も変化した。

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デジタル大辞泉の解説

がく‐ふ【楽譜】

歌曲または楽曲を、一定の約束に従って、記号を用いて書き表したもの。「楽譜を読む」

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百科事典マイペディアの解説

楽譜【がくふ】

音楽を記憶したり伝達するために視覚的な記号に置き換えたもの。音の順序,音の高さと長さ,強弱や音色などを記述できればよいが,完全なものはなく,また音楽様式が固定化した集団では楽譜の意義は小さくなり,簡単な表示ですます傾向にある。
→関連項目スコア

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世界大百科事典 第2版の解説

がくふ【楽譜】

楽譜は,音楽を一定の約束に基づいて書きとめ記録したものである。原則として可視的に表示されるが,盲人用の点字楽譜などもある。楽譜を書き記す方法を記譜法といい,さまざまな種類がそれぞれの音楽の表現様式と密接に結びついている。現在,国際的に受け入れられている五線記譜法は,ヨーロッパで17世紀以後に完成され,古今東西の記譜法のなかでは最も表示力に富むことは認められるが,五線記譜法も近代ヨーロッパの芸術音楽の様式と不可分に結びついたものであり,これ以外の時代および地域の音楽を表示するためには,不十分であり多くの制約が生じる。

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大辞林 第三版の解説

がくふ【楽譜】

楽曲を一定の約束のもとに記号などによって書き表したもの。五線譜など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

楽譜
がくふ

音楽を記号、文字、数字などを用いて、一定の約束(記譜法)のもとに可視的に表記したもの。今日ではヨーロッパ起源の五線譜が国際的にも広く使われているが、これをもってしても楽曲のすべての要素を正確に記すことは不可能であり、楽譜どおりに演奏すれば事足れりというものではない。演奏に際して、楽譜の解釈ということが重んじられるのもそのためである。[山口 修]

楽譜の意義

楽譜は本来は、音響として存在する音楽をなんらかの目的に応じて可視的な形に置き換えたもので、民族や時代によってさまざまな形態を示し、それぞれの音楽文化の本質を端的に表している。楽器操作などの身体運動により表出される音楽は、それ自体で時間の流れと空間の広がりという成立基盤をもっているので、それが楽譜として変形される過程や結果をみれば、音楽の時空間的構造上の特質をつぶさにみてとることができる。しかし現実には、楽譜として書き記された量は、人類の歴史を通じて鳴り響いた音楽のなかのごく一部にすぎない。音楽文化のなかでの楽譜の意義を理解するためには、「楽譜的」な形態についてもあわせて考える必要がある。すなわち、伝承や演奏に際して観察される「音楽変形」の行動である。
 具体的にいえば、第一に身体運動そのものが問題になる。声の上下や楽器演奏につれて観察される身体運動は、それ自体パターン化しているので、実験的に耳をふさいでも、視覚を頼りにしてある程度は音楽構造を認知することができる。また、アンサンブル(合奏・合唱)の指揮者や教習過程での教授者の動き、とりわけ手の運動は、旋律輪郭や拍子を明確に表している。第二の音楽変形は声によるものであり、本来の演奏とはやや異なる形、すなわち擬音技法、母音唱法、口唱歌(くちしょうが)(口三味線など)、ソルミゼーション(ソルフェージュ)などを利用して行われる。第三の音楽変形も声を使うのであるが、ことば(言語)への変換である点で第二の場合とは本質的に異なる。すなわち、音楽構造が概念化ないし抽象化されて音楽用語の体系ができあがったり、日常や儀礼の場で「音楽について語ること」が行われたりするのである。
 これら三つの音楽変形は、おそらくすべての民族がすべての時代にとってきた行動であろう。そしてこれらが、音楽を二次元的に視覚化する、すなわち楽譜として書き留めるという行動に大きな影響を及ぼしたと考えられる。文字をもつ社会はほとんどが楽譜をなんらかの形でもっていると思われる。しかしそれよりも、「文字的なもの」と「楽譜的なもの」が人類に普遍的に備わった文化側面であることに注意することのほうが重要である。[山口 修]

目的と効果

音楽を楽譜、あるいはそれに類する形で固定化することは、一瞬のうちに消えてしまうはずの音響を永続させる効果があり、そこにはいくつかの目的が設定される。第一に保存、すなわち備忘や記録に供するという目的がある。レパートリーが拡大したり、それに文化的あるいは経済的価値が伴ってくるにつれ、保存を目的として音楽の一端を書き留めることは楽譜社会で広く行われている。これは主として、自分だけにわかればよい単なる思い付きの記号程度のメモの形をとることから始まる。
 しかし、他人が読むことを前提にする、すなわち伝承や伝播(でんぱ)に供するという第二の目的が意識されると、一定の書き方が成立する。その書法は教習や演奏に役だてられ、一定の集団(組織・共同体・流派・社会)の共有財産となる。そして必要に応じて手写され、やがては印刷されるようになるのである。最初の印刷は中国の唐代にあったと推定されるが、現存する楽譜の年代判明の例としては、15世紀後半ドイツの「典礼歌集」が知られている。近世になるとヨーロッパ・中国・日本でそれぞれ楽譜印刷が進み、近代・現代の楽譜産業の先駆けとなった。こうして自筆譜autograph、手写本manuscript、諸々の版edition(s)などが後世にまで残されて、音楽史学者にかっこうの研究史料を提供している。なお、盲人のためには、フランスの盲人音楽家ブライユL. Braille(1809―52)に端を発する点字記譜法も整備されている。
 楽譜の第三の目的は、分析に利用することである。これは主として音楽学という学問にかかわる。社会で慣用されている楽譜だけでなく、音楽学者は自ら独自の方法で採譜したり、近年は機械(たとえば自動採譜器、メログラフなど)を利用して精密な楽譜を作成し、分析を行う。[山口 修]

形態と特質

実際に楽譜として書き留められるとき、音楽のもつ二つの特性、すなわち音のアナログ的な流れとデジタルな連鎖が考慮に入れられて、図示的形態、符号的形態、ないしその折衷形態が採用される。図示的な方法は、典型的には二次元の平面を座標軸に見立てて、時間の経過と音高の変化をグラフ的に表すものである。たとえば、ヨーロッパの五線譜においては、横軸が時間を縦軸が音高を、そして東アジアの一般的な方法として縦軸が時間を表すことなどである。また、カイロノミー(指揮者の手の動き)とも似た形で下行線、上行線、波状線などを書くことも含まれる。図示的形態の特質は、最小限の約束事項しかないうえに、書かれた線などが写実的で、いわば図像(アイコンicon)として把握しやすく、文化を越えて理解されやすいということである。これに対して符号的な方法は、文字や特殊な記号をいわば恣意(しい)的に多用するために、なじむまでに訓練を要する。しかし、いったん修得すれば、すべての記号がその前後関係において意味論的含蓄をもたされるので、音楽様式の理解には都合がよい。
 一般に、楽譜を大別して、特定の楽器を対象とした奏法譜タブラチュアtablatureと、表音譜ノーテーションnotationの2種類があるといわれるが、これはヨーロッパ的枠組みである。あえてこれを拡大解釈して使うとすれば、タブラチュアはそれぞれの表現媒体(楽器)の奏法に応じて表形式に整理した図示的形態であり、ノーテーションは記号に音符notesとしての意味を与える符号的形態とすることができよう。また書き上げられた楽譜は、もともとの目的に応じて規範的、記述的という二つの特質、およびその組合せをもっている。社会一般で広くみられる楽譜の大半は規範的であるのに対して、音楽学者が機械などを利用して作成するのは記述的なものである。規範的な楽譜は、当該音楽様式にとって意味のある側面を視覚化してあるので、イーミック(エミック)emicといわれ、他方、記述的な楽譜は文化の枠を越えて詳細に(ときには文化の担い手が区別できない、あるいは、しない側面まで)書き留めてあるので、エティックeticな採譜transcriptionともいわれている。
 楽譜として書き表される側面としては、まず歌詞がある。もちろん、ことばを文字として書き留めること自体は楽譜とはいえないが、歌われる単位(行・節(せつ))がはっきり区別されたり、歌詞に添えて点や線などの記号を書く形態は古今東西に例が多い。そこに記されるのは音高、音高変化(旋律型)、拍などである。器楽の場合には、さらに奏法、リズム、モチーフなどが記される。[山口 修]

歴史と分布

現存する最古の楽譜は、古代バビロニアの粘土板(ベルリン国立美術館)に刻まれた楔形(くさびがた)文字で、紀元前800年ころのものと推定されるが、まだ解読されていない。古代ギリシアでは文字譜が声と楽器それぞれに使われていた。古いギリシア文字を正置、横転、逆転、グルーピングして法則化しているので、ある程度は解読されている。西洋でのこの後の楽譜は、主として宗教音楽において展開される。ユダヤ聖歌においては、点、直線、曲線などによる文字に似た記号がくふうされ、それぞれ特定の旋律型を示しているので、動機譜ekphonetic notationとよばれている。ビザンティン聖歌は12~15世紀の中期ビザンティン記譜法とよばれる音程表示を特徴とする。
 古代ローマの言語アクセント表示法に端を発すると推定されるグレゴリオ聖歌は、旋律の上行運動を示すネウマneuma(ラテン語)、neume(英語)という記号を使っている。ネウマ記号はそれ自体では近隣する音の前後関係しか表せず、この欠陥を補うために、10世紀ごろから譜線を用いることが始まった。これは譜線ネウマstaff neumeないし隙間(音程)ネウマdiastematic neume, interval neumeとよばれ、それ以前のものはカイロノミックcheironomic neumeとよばれる。13世紀には4線上に角形ネウマnota quadrataを泳がせる方式が広く使われるようになる。ただしゲルマン系のゴシック・ネウマgothic neumeという鋲(びょう)形ネウマを使うところも多かった。譜線ネウマは、曲全体を通じて音程関係は正確に表せるが、音価の表記はあいまいなままであった。
 12~13世紀のノートルダム楽派は、多声音楽の各声部のリズムを明示する必要から、モード記譜法modal notationを考案した。すなわち、リガトゥラ(連結符)の並び方のパターンにより、リズム型が示されるのである。また、声部ごとに分けて書くパート譜の最初の例としてもユニークである。長短の関係をさらに明示できるのが、13世紀中葉の定量記譜法mensural notationである。そこでは、長符ロンガlonga()と短符ブレビスbrevis(■)が区別される。そして、分割と倍価による長短関係をさらに明確にしたのが、14世紀初めの黒符定量記譜法である。この黒符は15世紀には白抜きに変更され、白符定量記譜法となった。
 15~17世紀には体系的なタブラチュアも出現する。リュート・タブラチュアの場合、水平線で弦を表し、フレットを数字・文字で書いている。鍵盤(けんばん)楽器タブラチュアは、鍵(キー)を数字・文字で表した。このような楽譜の多様化の傾向の一端として、15世紀にフランス、イタリアで現代の五線譜に近い記譜法ができていた。図示的な性格(線と線間)、そして符号的な性格(おたまじゃくし)を兼ね備えた五線譜は、バロック以後それなりの完成への道を歩み、19~20世紀にはヨーロッパの外にも広く普及していく。
 漢字の伝統と十二律をはじめとする音楽理論の基盤をもつ中国は、少なくとも紀元前4世紀には楽譜があったと考えられている。それ以後の長い歴史を通じて表音譜と奏法譜という二つの形態がそれぞれ多様に展開され、近隣諸地域(ベトナム・朝鮮半島・日本)に影響を及ぼした。表音譜は七声や十二律の音名を漢字ないしその変形により表し、それらを縦に書き並べていくときの空白の大小により時間やリズムの側面が表現された。拍節法を明確に表記する努力は、縦横の線で表のように整然と表した井間譜(せいかんふ)として実を結ぶ。近世中国を代表する工尺譜(こうしゃくふ)はその典型であり、これが変形されてベトナムや沖縄の古典音楽においても継承された。井間譜がもっとも緻密(ちみつ)にくふうされたのは朝鮮においてであり、『李朝(りちょう)実録』『世宗実録』『世祖実録』などにおいて、朝鮮固有の3拍子系リズムが偶数拍群法と絡む実態を表記する方法の変遷をたどることができる。
 中国でのもう一つの形態である奏法譜は、主として唐代の楽器別固有の記譜法として展開したが、それ以前からその基盤がつくられていた。たとえば、六朝(りくちょう)時代の琴譜(きんふ)『碣石調幽蘭(けっせきちょうゆうらん)』は文章による奏法記述の形をとり、唯一の現存写本が神光院(京都)にある。琴(きん)の楽譜はその後、漢字の略字を使った減字譜となる。琵琶(びわ)については『敦煌(とんこう)琵琶譜』と通称される楽譜があり、これも減字で左手指のポジションを表す方式をとっている。これは、日本に現存する正倉院文書(琵琶譜断片)や『三五要録』『五絃琴譜(ごげんきんふ)』(琴ではなく琵琶の譜)などとも部分的に共通の書法を示しているので、現行雅楽からの類推や文献学的操作によって解読が進められ、復原演奏も試みられている。
 日本では中国の影響を受けながら、他方独自の書法が数多く考案されてきた。楽器習得の段階で活用される口唱歌(くちしょうが)は、本来は手や扇子を打ちながら音声で唱えるだけのものであるが、これを仮名表記した擬声譜が雅楽器、能楽囃子(はやし)、俗箏(ぞくそう)、三味線などに使われている。多くの場合、この擬声譜は同じ紙面に併記される漢字・減字などによる奏法譜に対する補助的な働きをもっているが、擬声譜を演唱したときの口唱歌は、本来の音楽に近い表現となっているところに特徴がある。また平曲などでは、口唱歌ほどに逐一音声に置き換えるのでなく、あるまとまり(旋律型・リズム型)を類型学的に整理命名した用語譜が使われた。この用語譜は他のシステムのなかにも入り込むことが多い。奏法譜は、弦名、勘所(かんどころ)、指孔、奏法などを文字(ないし減字)で示す形をとる。たとえば箏(こと)では算用漢字が弦名を、竜笛(りゅうてき)・能管(のうかん)では数字が指孔や指使いを表すし、浄瑠璃三味線では「いろは」が勘所の表記となっている。こうした楽譜では図示的な方法が併用されることが多い。たとえば、丸で拍を表し、表間(おもてま)を大丸、裏間(うらま)を小丸と区別したり(雅楽)、三角印の鋭角の向きによって撥(ばち)運動の方向を示したり(薩摩(さつま)琵琶)する。図示的方法がさらにアイコン的性格を強めてグラフ化されると、西洋のネウマ譜とも共通する直線・曲線の組合せによる記号が旋律やリズムの輪郭を描写する。この方式は声明(しょうみょう)の博士(はかせ)として知られているが、チベット仏教(ラマ教)での記譜法とも類似し、音楽書法の伝播を暗示している。日本の楽譜の重要な文献としては『糸竹初心集(しちくしょしんしゅう)』(1664)の一節切(ひとよぎり)孔名譜・三味線勘所譜、『絃曲大榛抄(げんきょくたいしんしょう)』(1828序文)の地歌三絃仮名勘所譜、『箏曲大意抄』(1779序文)の拍節明記・奏法付記による箏絃名譜などがある。
 インドでは古代以来、とくにベーダ賛歌の重要なポイントを明記する記号としての楽譜があったし、7~8世紀以後はさらに器楽のソルミゼーション(サ・リ・ガ・マ・パ・ダ・ニ)を表記することや、近代ではターラ(拍群法)を数式的な記号で表すなど、さまざまなくふうが凝らされてきた。ただしインドでは、即興演奏や微妙な装飾法を重視するため、現在でも楽曲全部を表記することは行われていない。東南アジアでは、ジャワやバリでロンタル(椰子(やし)葉)に記号を刻んだ楽譜や、19世紀以来の数文字縦表記により、主要旋律を記録することがわずかながら行われていた。これらの地域、そして東アジアでは、西洋との接触以後、西洋的ソルミゼーションに翻訳しての数字譜や、譜線利用によるグラフ的要素拡大などの書法上の文化変容が進行した。たとえば、ガムランのパート譜および総譜(西洋的に左から右への横軸に時間を置いたアラビア数字による数字譜)、長唄三味線文化譜(3本の線によって3弦を表し、勘所をアラビア数字で、音価を下線補記で表記)、長唄研精会譜(縦3本の線で時間と3弦を表し、西洋のドレミとフラットやシャープなどの記号を利用)などがその例である。
 西アジアでは、即興演奏による旋律型表出が音楽文化の基礎であるため、楽譜はあまり必要とされなかったが、ある程度固定化される側面を表記するために西洋の五線譜を借用し、独特の微分音を表すためにソリー記号()とコロン記号()などが補助的に使われている。
 現在、西洋の五線譜が世界にもっとも広く普及していて、それぞれの伝統音楽の保存・記録や、新しい音楽創造に役だてられているが、このシステムは多くの人々になじまれていて伝達を助けている反面、それぞれの民族の微妙な音楽特性を圧迫している場合もある。そこで、現代音楽や諸民族の新しい試みとして、まったく別の書法も数多く考案されている。多くの音楽書法が並存するとき、あるシステムから別のシステムへ変換する訳譜transnotationの必要も生じてくるが、言語の翻訳と似て、訳譜は原譜のすべての意味を翻訳できるとは限らない。そして多様性の時代としての20世紀後半以後は、単一の楽譜に過大の価値を与えるのではなく、多くの音楽書法の並存をさらに促す方向に向かうであろう。[山口 修]
『NHK交響楽団編『楽譜の世界』全3巻――(1)皆川達夫監修『楽譜の本質と歴史』、(2)海老沢敏監修『音楽の現場と楽譜』、(3)小泉文夫監修『日本と世界の楽譜』(1974・日本放送出版協会)』

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図書館情報学用語辞典の解説

楽譜

音楽を一定の記譜法(音楽を可視的に表記する方法)に従って紙面上に記したもの.主として五線譜を指すが,広くはこれに限らない.個々の音の高さや旋律の動きを表示するものと,楽器の奏法を指示するものとに大別される.楽譜の種類としては,スコアピアノスコア,ヴォーカルスコア,オーケストラ譜,パート譜ミニチュアスコアなどがある.

出典|図書館情報学用語辞典 第4版
©All Rights Reserved, Copyright Nihon Toshokan Joho Gakkai, 2013 編者:日本図書館情報学会用語辞典編集委員会 編
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世界大百科事典内の楽譜の言及

【音楽】より

…即興を本旨とする音楽も,口承による音楽も,記譜された作品も,その点に関して言えば同一である。楽譜は,作品を固定する手段であると同時に,実際の演奏に対する覚書,指示書としての役割をもっている。しかし,その指示は,すべてを数量的に規定した電子音楽の作品のような場合は別として,演奏に携わる者の本来的な創造的自由を前提としたものである。…

【博士】より

…日本の声楽の伝統的な楽譜の一種。旋律の動きを視覚的にわかりやすく示そうとしたもので,詞章の右または左に書かれる。…

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