鶡冠子(読み)かつかんし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鶡冠子」の意味・わかりやすい解説

鶡冠子
かつかんし

中国、戦国時代、鶡(やまどり)の羽毛の冠を着けた楚(そ)の隠者と称される人物。また、その人物に仮託したところの書。一説に、「鶡」は「鷸(しぎ)」の誤りともいう。『漢書(かんじょ)』芸文志(げいもんし)の諸子略道家(どうか)類に『鶡冠子』1編が記載されている。現行本は3巻19編よりなる。そのなかで、龐煖(ほうけん)あるいは龐煥(ほうかん)が登場する対話形式の7編は、もっぱら兵法に関する記述で、これら諸編は、『漢書』芸文志の兵書略所見の『龐煖』に由来するものであるかもしれない。他の諸編は、全体に道家と刑名家(法家)を交えたような考えが濃厚であり、ことに天地人三才に関する発言が随所に認められる。なお、六朝(りくちょう)梁(りょう)の劉勰(りゅうきょう)と中唐の韓愈(かんゆ)が『鶡冠子』の文章を賞揚しており、宋(そう)の陸佃(りくでん)(1042―1102)がこの書に注している。

[伊東倫厚 2015年12月14日]

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