朝日日本歴史人物事典 「鹿島一布」の解説
鹿島一布
生年:天保13(1842)
幕末明治期の金工家。一布斎秀広の子。江戸生まれ。幼名は善次郎,号に一布斎楽則がある。はじめ父のもとで鐔の制作に用いる鉄布目象嵌の技術を学ぶ。のちに布目象嵌を朧銀にも応用して絵画文様,緻密な幾何学文や唐草文を駆使した独自の境地をひらいた。廃刀令による刀装金工の衰退のなかで,その一技法であった布目象嵌を大作制作に応用し,これを発展させて活路を見いだした功績は大きい。代表作に「金象嵌八角壺」(宮内庁蔵)や「朧銀山水図額」(東京国立博物館蔵)などがある。
(加島勝)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報