マール(Nikolay Yakovlevich Marr)(読み)まーる(英語表記)Николай Яковлевич Марр/Nikolay Yakovlevich Marr

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

マール(Nikolay Yakovlevich Marr)
まーる
Николай Яковлевич Марр/Nikolay Yakovlevich Marr
(1865―1934)

ロシアソ連言語学者。アルメニアおよびジョージアグルジア)の文献学的研究やカフカス地方の言語、歴史、民族の研究に多くの業績を残す。また、独特な言語発展段階説を唱えた、いわゆる「ヤフェト理論」(のちに「言語に関する新学説」)でも知られるが、なによりもマールを有名にしたのは、「言語は上部構造であり階級的性格を有している」との考えに代表される、いわゆる「マール主義」である。この「学説」は、非科学的であるにもかかわらず、スターリン自らが批判を下した1950年までの20年余にわたり、ソ連言語学界を席捲(せっけん)した。逆に1950年代にはマール全面否定論が支配するが、今日では、言語と社会の関係をめぐる学説をはじめとして、マールの理論全体に改めて客観的な評価が下されている。

桑野 隆 2018年8月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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