翻訳|maar
主として火山ガスの噴出する水蒸気爆発または水蒸気-マグマ爆発によって既存の地盤が吹き飛ばされて生じたほぼ円形の火口(凹地)であり,その周囲に噴火以前に存在した(異質)か,またはその噴火に直接関係したマグマに由来する(本質)火山砕屑物が薄く堆積して生じた傾斜4度以下の緩傾斜地がある。小規模の火砕流またはベースサージの堆積物を伴う例もあるが,砕屑丘ほどの顕著な火山体を伴う例はない。火口の直径は500m~1kmのものが多く,深さは100m以下である。火口底は漏斗状もあるが平坦なものが多く,一般に水をたたえている。マールの名称はドイツのアイフェル地方に群在するMaarと呼ばれる円形の湖に由来する。男鹿半島の目潟も群在するマールの例である。かつてマールは火山活動の初期に生じると考えられていた。しかし,火山島では成層火山の側火山として海岸地方にマールがあり,中腹以高にほぼ同じ岩質の砕屑丘が存在する(例:三宅島)。したがってマールは必ずしも火山活動の初期ばかりではなく,マグマが地下水と接触して水蒸気爆発を起こしやすい場所であれば,側火山あるいは中央火口丘として一輪廻の噴火によってどこにでも生じうる。
→火山
執筆者:鈴木 隆介
フランスの美術史家。コマントリー生れ。《フランスの13世紀の宗教美術》(1898)で文学博士号を取得。この業績により,1906-23年ソルボンヌの中世美術史教授をつとめる。その間に《フランスの中世末期のキリスト教美術》(1908),《フランスの12世紀の宗教美術》(1922)を次々と発表。図像学に基づくその研究は,中世美術を解明するにあたって画期的な役割を果たした。23年ローマのエコール・フランセーズの学長に任命され,このイタリア滞在の機会を利用して,《トリエント公会議以後の宗教美術》(1932)を著し,前述の中世美術の3作と合わせて,膨大な四部作を完成,これらはキリスト教美術研究者にとって必読の書となる。著作は他に,《中世の美術と美術家たち》(1927),《ローマとその古い教会》(1942)などがある。
執筆者:荒木 成子
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(1)maar
爆発的な噴火によって生じた火口で円形またはそれに近い輪郭をもち,周縁に顕著な堆積物の丘をもたないもの。噴火活動として,火山ガスが噴火するだけの場合には,火道の周囲の岩石の破片だけが放出され,すり鉢状の火口を生ずる(gas maar)。本質物質(軽石・スコリアなど)も放出される場合には,風下側に伸長した降下火砕堆積物を伴うことが多い(例,Laacher See)。マール底は平坦なことが多く,しばしば水で満たされている。
執筆者:荒牧 重雄
(2)marl
炭酸塩鉱物成分が25~75%,粘土鉱物成分の多い不純な細粒石灰質堆積物。この用語を未固結のものに限って使用する研究者は,固結した同質の岩石を泥灰岩(marlite, marlstone)と呼んでいる。深海から陸水域まで,いろいろな場所で形成されており,細粒の炭酸塩鉱物からなるこの粒子の起原にも生物遺骸(片)・炭酸塩岩片・無機化学的沈殿説などがあるが,比較的均質な岩石であるために,記載的分類も成因的分類もまだなされていない。
執筆者:礒見 博・沖村 雄二
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ロシア・ソ連の言語学者。アルメニアおよびジョージア(グルジア)の文献学的研究やカフカス地方の言語、歴史、民族の研究に多くの業績を残す。また、独特な言語発展段階説を唱えた、いわゆる「ヤフェト理論」(のちに「言語に関する新学説」)でも知られるが、なによりもマールを有名にしたのは、「言語は上部構造であり階級的性格を有している」との考えに代表される、いわゆる「マール主義」である。この「学説」は、非科学的であるにもかかわらず、スターリン自らが批判を下した1950年までの20年余にわたり、ソ連言語学界を席捲(せっけん)した。逆に1950年代にはマール全面否定論が支配するが、今日では、言語と社会の関係をめぐる学説をはじめとして、マールの理論全体に改めて客観的な評価が下されている。
[桑野 隆 2018年8月21日]
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…粘土質成分および炭酸塩成分が混合した,おもに灰色の堆積物。日本では泥質の石灰岩を広く泥灰岩(マール)と呼びならわしてきた。マールは種々の意味で使用されるが,アメリカでは海成あるいは陸水成(とくに後者を重視)で,粘土および炭酸塩の混合物からなるものを呼び,固結したものはマール岩として区別している。…
…このほか,ブドウ酒用の果汁をとったあとの搾りかすを蒸留してつくるかすブランデー,ブドウ酒のおりでつくるリーズブランデー,干しブドウからつくった酒を蒸留するレーズンブランデーなどがある。これらの中ではかすブランデーが重要で,フランスではマールと呼ばれ,オーク樽で熟成するが,イタリアのグラッパと呼ぶかすブランデーは樽熟成を行わず,無色のままである。
[フルーツブランデー]
アップルブランデーはリンゴ酒(シードル)を蒸留するもので,フランスのノルマンディー地方に産するカルバドスが有名である。…
…自作の象牙の女の像に恋したというピュグマリオンの物語のように神話や伝説の世界に属するものを別にしても,広い意味での美術史的記述,すなわち美術作品や芸術家の活動についての記録は,すでに古代から認められる。それらは,大別して,(1)パウサニアスの《ギリシア案内記》に代表されるような旅行記・案内記類と,(2)大プリニウスの《博物誌》に見られるような芸術家の名まえ,およびその作品や興味深いエピソード類,に分けることができる。…
…噴火終了後に地下水が戻って火口湖となる。1回の活動によってできたこのような形の火山はマールmaarと呼ばれる。弱い爆発が続いて,火口の周囲に噴出物が積もり,円錐状の小丘ができたものは砕屑丘(火山砕屑丘)pyroclastic coneと呼ばれ,噴出物の違いでスコリア丘(噴石丘),火山灰丘,軽石丘がある。…
…単に地球内部から地表へマグマが噴出する地点という意味にも火山ということばが使われる。火山の大多数は火口周辺に火山噴出物が堆積した結果として形成されるが,カルデラやマールのように陥没や爆発などにより既存物質が失われてその形態ができたものもある。現在われわれが見る火山体の地形は,その構造が形成される途中,あるいは完成後の浸食の途中の一段階を示している。…
※「マール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 春の季節がもうすぐそこまで来ていること。《 季語・冬 》 〔俳諧・俳諧四季部類(1780)〕[初出の実例]「盆栽の橙黄なり春隣〈守水老〉」(出典:春夏秋冬‐冬(1903)〈河東碧梧桐・高...