D-グルコン酸(読み)グルコンサン

化学辞典 第2版 「D-グルコン酸」の解説

D-グルコン酸
グルコンサン
D-gluconic acid

C6H12O7(196.16).ヘキソン酸の一種.D-グルコン酸およびその6-リン酸エステルは,ペントースリン酸サイクルなど糖の代謝の中間体として,広く生物体中に見いだされる.実際に微生物(たとえば,Acetobacter gluconiumなど)を利用して,D-グルコースからD-グルコン酸が得られる.化学的には,D-グルコースを臭素水酸化,または電解酸化して合成する.融点130~132 ℃.-6.7→+17.5°(10日後,水).この変旋光は一部が平衡的にラクトン化するために生じる.pKa 3.76.γ-ラクトンは融点134~136 ℃.+68→+18°(14日後,水).δ-ラクトンは分解点153 ℃.+66→+15.8°(25日後,水).これらラクトンをナトリウムアマルガムや水素化ホウ素ナトリウムで還元するとD-グルコースに,硝酸で酸化すればグルカル酸になり,鉄(Ⅲ)塩の存在下,過酸化水素で処理すると,酸化的に脱炭酸してD-アラビノースを与える.キノリン中で熱すると,一部がエピマー化してD-マンノン酸となる.カルシウム塩の水溶液は,食品の酸味料として,またカルシウム注射液として用いられる.L-およびDL-グルコン酸は非天然産であり,合成品のみが知られている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android