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過酸化水素 かさんかすいそhydrogen peroxide

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

過酸化水素
かさんかすいそ
hydrogen peroxide

化学式 H2O2 。フランスの化学者 L. -J.テナールが 1818年に発見した。過酸化バリウムに希リン酸を作用させるか,硫酸と硫酸アンモニウムの混合溶液の電解によって製造する。3~90%水溶液として市販されているが,水溶液は徐々に分解するので,通常リン酸,アセトアニリドその他の安定剤を添加してある。攪拌したり,粗い面や金属白金,パラジウム,金,銀などのコロイドや二酸化マンガンなどに触れると分解が促進される。無水の過酸化水素は無色,収斂性のある油状の不安定な液体。融点-0.89℃,沸点 69.7℃ (28mmHg) ,152.1℃ (1atm) ,比重 1.465 (0℃) 。真空中で蒸留可能であるが,不純物が存在すると爆発する。 90%水溶液はロケット推進薬に使われる。通常の市販品の日本薬局方名をオキシドールといい,過酸化水素 2.5~3.0%を含む。プラスチック工業でビニル重合の触媒のほか,毛皮,毛髪,絹,麦わら,象牙,織物などの漂白にも広く使われる。最近工業的には 30%溶液が使われるが,酸化性が非常に強く,皮膚を激しくおかすので,手袋,保護眼鏡をして取扱う必要がある。衣服その他の可燃物や金属粉,ほこりなどにより分解し,瞬間的に多量の酸素を放出することがあり,危険。

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デジタル大辞泉の解説

かさんか‐すいそ〔クワサンクワ‐〕【過酸化水素】

ナトリウムバリウム過酸化物に酸を作用させて得られる無色・油状の液体。不安定で、分解すると酸素を発生する。普通は水溶液過酸化水素水、とくにオキシドール)として漂白剤や殺菌剤に使用。濃厚なものはロケット燃料に用いる。化学式H2O2

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百科事典マイペディアの解説

過酸化水素【かさんかすいそ】

化学式はH2O2。融点−0.9℃,沸点150.0℃。無色,油状の不安定な液体。強い酸化剤で,そのままではほこりなどによっても激しく爆発する。通常,水溶液(約3%水溶液をオキシドール,30〜35%水溶液を強力オキシドールという)として市販。

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世界大百科事典 第2版の解説

かさんかすいそ【過酸化水素 hydrogen peroxide】

化学式H2O2。1818年にフランスのテナールLouis Jacques Thénard(1777‐1857)によって過酸化バリウムと塩酸から初めて得られた化合物。無色,オゾン臭のある油状の液体で,融点-0.89℃,沸点151.4℃,比重1.46(0℃)。白金,パラジウム,二酸化マンガンなどの粉末,粗い面をもつ固体,アルカリ,血液中の酵素カタラーゼ,さらにふつうの塵埃(じんあい)など,きわめて多様な物質が触媒となって容易に分解し,水と酸素になる。

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大辞林 第三版の解説

かさんかすいそ【過酸化水素】

水素と酸素の化合物の一。化学式 H2O2 強い酸化作用をもつが還元作用もある。金属酸化物の触媒や酵素などにより分解されて酸素を放出して水になる。純粋のものは粘性のある無色透明の爆発性液体でロケット燃料などとして重要。水溶液は漂白剤・消毒殺菌剤として用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

過酸化水素
かさんかすいそ
hydrogen peroxide

水素と酸素の化合物の一つ。過酸化バリウムに酸を作用させると得られる。1818年フランスのテナールにより発見された。
 工業的には、有機物の自動酸化を利用する。2-エチルアントラキノール溶液に酸素を通し、生じた過酸化水素を純水に抽出する。キノンは触媒の存在下、水素によりキノールに再生される。また古くは、硫酸水素アンモニウム水溶液の電解酸化により生じるペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を減圧蒸留してつくっていた。減圧蒸留では通常25%程度までであり、脱水剤を加えて真空蒸留して100%のものが得られる。
 減圧蒸留、硫酸による脱水、分別結晶法により精製する。純粋なものは無色オゾン臭のある油状液体。水溶液は弱酸で、重金属、金属パラジウムその他のコロイドあるいは重金属酸化物、塵埃(じんあい)、アルカリなどが存在すると酸素を放って爆発的に分解する。リン酸は分解を阻止するので、市販品にはこれが加えられている。過酸化水素中の酸素の酸化状態は、酸素と水の中間にあたる。

 強い酸化力をもち、酸化剤として用いられることが多いが、過マンガン酸塩との反応では還元剤として作用する。市販品は普通30%水溶液で、3%水溶液は薬局方でオキシドールという。主要な用途は漂白用で、パルプ、木綿、麻、絹、羊毛など天然繊維のほか各種化学繊維、食品に用いられる。そのほか合成化学原料、消毒剤、殺菌剤として医薬用に、重合開始剤、金属表面処理剤、また90%以上のものはロケット推進薬として用いられる。低濃度でも酸素を発生しながら分解しやすいため、直射日光を避け、熱源に近づけないように注意しなければならない。高濃度のものは皮膚を侵し、炎症をおこす。[守永健一・中原勝儼]

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世界大百科事典内の過酸化水素の言及

【食品漂白剤】より

…過酸化ベンゾイルは漂白と同時に製パン性を改善する目的で小麦粉に添加される。また,過酸化水素がかずのこ,しらす,かまぼこの漂白にかつて広く用いられたが,1980年に日本で発癌性の疑いが判明したので,最終製品の完成前に分解または除去することが定められた。【田島 真】。…

【滅菌】より


[化学的方法]
 古くからアルコール,ホルムアルデヒド,石炭酸(フェノール)などが用いられている。2.5~3.5%の過酸化水素はその酸化作用のため消毒に用いられる。過酸化水素は空気,光などにより分解して効力を失うので,冷暗所に保存する。…

※「過酸化水素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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