改訂新版 世界大百科事典 「DLE」の意味・わかりやすい解説
DLE (ディーエルイー)
円板状紅斑性狼瘡(ろうそう)discoid lupus erythematosusの略。円板状エリテマトーデスともいう。膠原病の代表的な疾患である急性全身性紅斑性狼瘡(エリテマトーデス)の皮膚症状のみの慢性型をいう。発疹は自覚症状のない限局性の紅斑で鱗屑を伴うが,中心部の皮膚の萎縮性もない,辺縁は色素増強することが多い。顔面,とくに両頰部を中心に左右対称的に(このような発疹を蝶形紅斑という),そのほか耳,鼻尖,口唇,手背,頸部などの日光露出部位に好発する。全身皮膚に発疹を多発するタイプ(これを播種状DLEという)では,発熱,関節痛などとともに血沈亢進,白血球減少,尿タンパク陽性,RAテスト陽性,抗核抗体,LE細胞陽性などの検査異常を示す全身性紅斑性狼瘡に移行しやすいので注意が必要である。原因は現在,自己免疫説が主流をなす。治療は,できるだけ日光への暴露を避け(たとえばカバーマークを外用するなど),紫外線遮断剤を含む外用剤の使用,副腎皮質ホルモン含有軟膏の外用とともに,つねに全身性紅斑性狼瘡への移行を防ぐような配慮が必要である。
執筆者:西川 武二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報