Gm型(読み)ジーエムがた(その他表記)human gammaglobuline group

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「Gm型」の意味・わかりやすい解説

Gm型
ジーエムがた
human gammaglobuline group

ヒト血清中の免疫グロブリンに存在する抗原性差異による遺伝的多型の一種で,R.グルッブにより 1956年に発見された。特定の不完全 Rh抗体で感作された赤血球と抗 Gm血清との凝集反応を被検血清が阻止するかしないかによって型判定を行う。すなわち強く阻止された場合は陽性 ( + ) ,ごく弱く阻止するか,あるいはまったく阻止しないときは陰性 ( - ) となる。 Gm型の遺伝子には人種差があり,コーカソイドは ag,axg,fb1b3モンゴロイドは ag,axg,ab3st,afb1b3,ニグロイドは ab1b3,ab1e,ab3s という遺伝子 (ハプロタイプ) をもつことが明らかになっている。 ab3st と afb1b3 はモンゴロイドの標識遺伝子である。同じ人種集団のなかでも遺伝子の頻度に差があり,集団の分化や移動を復元するうえで有用である。松本秀雄の研究によれば日本人の Gm型遺伝子頻度は北方系でモンゴロイドのそれに近いという。

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世界大百科事典(旧版)内のGm型の言及

【血清型】より

…それぞれ通常2~9の表現型に分けられ,いずれも赤血球抗原型(血液型)と同様に単純な遺伝をする。それぞれの型はタンパク質の一部の組成の差(アミノ酸置換)によって決まるが,Gm型,Km型,Am型などはそれが抗原抗体反応によって識別され,HP,TF,PIその他の血清型はデンプン,アクリルアミド,寒天などのゲルを支持体とした電気泳動法で検出される。GC(ビタミンD結合タンパク質)型のように,等電点電気泳動法と抗原抗体反応の組合せで型の判定が行われるものもある。…

※「Gm型」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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