化学辞典 第2版 「j因子」の解説
j因子
ジェーインシ
j-factor
無次元数の一つで,境膜における熱移動,物質移動および運動量移動に適用される.熱移動,物質移動,および流体摩擦との類似性の観点から,T.H. ChiltonとA.P. Colburnによって提案されたものである.円管中を流れる流体と円管壁との間の熱伝達係数hについては,多くの実験により,次のような無次元式が提案された.
ここで,kは流体の熱伝導率,dは円管直径,Gは質量流量,Cp は比熱容量,μは粘度である.この式の両辺を(dG/μ)(Cpμ/k)で割り,左辺に表れる複合無次元数を伝熱j因子,jH と定義する.
物質移動j因子 jD は,次式により定義される.
ここで,kg は境膜における物質移動係数,Mm は平均分子量,pf は非拡散成分の平均分圧,ρは密度,Dは拡散係数,(St)H,(St)M はそれぞれ,熱,物質移動のスタントン数,Scはシュミット数,Prはプラントル数である.jH,jD は円管内の混流範囲では,流体の圧損失についての摩擦係数fの1/2に等しいことが実験的に確かめられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報