改訂新版 世界大百科事典 「LPF法」の意味・わかりやすい解説
LPF法 (エルピーエフほう)
LPF process
浮選(浮遊選鉱)法は,硫化銅鉱物に対しては最も有効な選鉱法であるが,酸化銅鉱,とくにケイ酸塩銅鉱物に対しては困難が多い。LPF(leach-precipitate-flotationの略)法は酸化銅鉱に対する一つの選鉱法で,次のようなプロセスから成り立っている。(1)鉱石はボールミルなどによって微粉砕され,硫化銅鉱物をも含む鉱石であれば,通常の方法でまず硫化鉱物を浮選回収する。(2)次に残りのパルプ(鉱液)に硫酸を加え,pHを下げることによって酸化銅鉱物を浸出leachする。(3)再びpH調節を行ったのち,パルプに鉄粉を加え,かくはんする。すると液中の銅イオンが鉄粉の鉄を置換しながら析出precipitateする。(4)最後にこの金属銅を浮選分離flotationする。
LPF法においては浮選剤のほかに硫酸と鉄粉が必要であるが,鉱石中に黄鉄鉱が含まれている場合には,これを焙焼して両者を自家生産することも可能である。なお,LPF法は硫酸浸出を行う関係上,酸を消費する炭酸塩鉱物を含有する鉱石に対しては適用できない。
執筆者:井上 外志雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報