硫化鉱物(読み)りゅうかこうぶつ(その他表記)sulfide mineral

改訂新版 世界大百科事典 「硫化鉱物」の意味・わかりやすい解説

硫化鉱物 (りゅうかこうぶつ)
sulfide mineral

硫黄金属の結合した鉱物地殻中の硫黄の存在量は酸素に比べてはるかに少ないが,硫化鉱物は数多く存在し,地殻の主体をなす鉱物とは異なった挙動を示し,局部的に濃集して鉱石となり,これらの金属の原料となっていることも多い。V.M.ゴルトシュミットによる元素の地球化学的分類の一区分である親銅元素(銅,亜鉛,鉛,銀など)および親鉄元素の一部と,硫化水素H2Sをおもな分属試薬とする陽イオン系統分析法における親硫黄元素には共通するものが多い。前者隕石の研究や,溶鉱炉を用いた実験(1500℃以上)を基礎とした分類であり,後者室温での実験に基づく分類である。この広い温度範囲において硫黄と結合しやすい元素が存在することは,親硫黄性がこれらの元素にとって基本的な性質の一つであることを示すものといえよう。2種以上の金属・半金属と硫黄の結合した鉱物AmBnSpにおいて,半金属原子B(As,Sb,Biなど)が金属として挙動しかつ金属原子A(例えばAg,Cuなど)より密接に硫黄と結合したものがあり,これらは硫塩鉱物と呼ばれている。これは硫化鉱物と別グループとして取り扱われることも多い。

 硫黄の電子雲は変形しやすく,金属・半金属のうち同じ傾向をもつものと共有性の強い結合で硫化物をつくるが,その反面,硫化物には動きやすい(非局在性)電子が生じやすい。そのような電子をもつ鉱物は,一般に不透明で金属光沢を示す。共有結合性の強い硫化鉱物は,イオン結合性の強いケイ酸塩鉱物より複雑な構造をもつものが多いため,金属と硫黄の原子数の比によって分類されることが多いが,硫黄原子の充てんを基本とする構造による分類も提案されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硫化鉱物」の意味・わかりやすい解説

硫化鉱物
りゅうかこうぶつ
sulfide mineral

金属元素と硫黄の化合物から成る鉱物群の総称。金属と硫黄の原子比が,1:1のもの (閃亜鉛鉱,方鉛鉱,銅藍など) や,2:1のもの (輝銀鉱輝銅鉱など) ,1:2のもの (黄鉄鉱白鉄鉱など) ,3:4のもの (グレーグ鉱,スミス鉱) など,ほぼ整数比になっているもののほか,多くの不定比化合物鉱物 (デュルレ鉱,方輝銅鉱,磁硫鉄鉱など) が知られている。重金属の主要鉱石鉱物は大部分硫化鉱物として産する。

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百科事典マイペディア 「硫化鉱物」の意味・わかりやすい解説

硫化鉱物【りゅうかこうぶつ】

硫黄と金属,または硫黄とヒ素,アンチモン,セレン,テルル,ビスマスとの化合物からなる鉱物。金属は銀,鉄,鉛,銅,コバルト,水銀,ニッケル,亜鉛,カドミウム,マンガン,モリブデンなどが主要なもの。多くは重要な鉱石鉱物。またABXの形でAが金属,Bがヒ素,アンチモンなど,Xが硫黄の化学組成をもつものを硫塩鉱物という。

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