精選版 日本国語大辞典 「黄鉄鉱」の意味・読み・例文・類語
おう‐てっこう ワウテックヮウ【黄鉄鉱】
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比較的低温生成の各種金属鉱床中に産するもっとも普通の硫化鉱物の一つ。低温熱水鉱脈鉱床、黒鉱鉱床を含む噴気性堆積(たいせき)鉱床、含銅硫化鉄鉱床などのほか、泥質堆積岩、石炭、還元性条件下の湖水堆積物、深海底のスモーカー(熱水からの沈殿物が堆積した煙突状の構造物)周辺堆積物中などに産する。十分な硫黄(いおう)の供給条件および低温条件下での生成になるため、硫黄に乏しい条件下で産する鉱物(たとえば砒(ひ)鉄鉱・紅砒ニッケル鉱・サフロ鉱など)とは共存しない。地表条件で、あるいはバクテリアなどの作用で分解され、最終的には硫酸化合物といわゆる褐鉄鉱(鉱物学的には針鉄鉱)になる。液体包有物として硫酸第一鉄溶液などを含んでいると分解が早い。白鉄鉱とは同質異像関係にあるが、その安定領域は明らかではない。しかし加熱すると黄鉄鉱に転移する。
もっとも普通の共存鉱物は、黄銅鉱・閃(せん)亜鉛鉱・方鉛鉱など。形態は立方体・正八面体・正十二面体・正二十面体およびこれらを基調とした立体で、非常に変化に富み、三方晶系の対称を示すものも知られている。含ニッケル変種は黄鉄ニッケル鉱bravoite(化学式(Fe,Ni)S2)とよばれる。肉眼的には真鍮(しんちゅう)色の金属光沢で、硫化物としては硬度の高い部類に属する。日本における産地はきわめて多いが、なかでも三重県紀州鉱山(閉山)や福岡県吉原鉱山(閉山)の一稜(りょう)の長さ15センチメートルを超えるものや、新潟県赤谷(あかたに)鉱山(閉山)の三方変形結晶の産出例は有名である。近年、公害源物質として重視され、微量成分の研究が進んでいる。英名はギリシア語の「閃光」に由来する。
[加藤 昭 2016年1月19日]
FeS2.もっとも広く分布する鉄の硫化鉱物.Feの一部を置換して,Ni,Coが入ることがある.種々の火成岩,たい積岩,変成岩のなかに,また含銅硫化鉄鉱の塊として産出する.立方体,五角十二面体,正八面体などの面よりなる大きな結晶として産出することも多い.立方晶系,空間群 Pa3,格子定数 a0 = 0.542 nm.密度5.02 g cm-3.硬度6~6.5.淡黄色の金属光沢で,硫化鉱物のなかでもっとも硬度が高い.融点642 ℃.塩酸に溶けず,微粉はHNO3に溶ける.硫酸の原料として用いられる.条痕は緑黒色.脆弱で貝殻状または不規則な断口を示す.へき開は立方体の面に平行であるが不明瞭である.立方体と五角十二面体の結晶面には,その稜に平行な条線が見られる.
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…前者の例としては,CaCO3の化学組成をもつアラレ石(斜方晶系,柱状となることが多い)が,その外形を保ったまま方解石(三方晶系)に変化する場合,すなわち化学組成は変化せず内部原子の配列が変化した場合である。後者の例としては,化学組成FeS2の黄鉄鉱(立方晶系,直方体・八面体をなすことが多い)が,その特有なシンチュウ色を失い褐色の針鉄鉱(化学組成FeO・(OH),斜方晶系,針状結晶,その放射状集合体)に変化することがある。さらに化学組成がまったく変化する場合もある。…
※「黄鉄鉱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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