日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉱液」の意味・わかりやすい解説
鉱液
こうえき
鉱床を形成している有用元素を運んでくる水溶液、融体、気体などの流体のこと。鉱化流体ともいう。鉱液にはいろいろな起源の流体が考えられる。硫化物を主とする融体、クロム鉄鉱を多く含むマグマなどは、橄欖(かんらん)岩・斑糲(はんれい)岩などのマグマから分離して生じている鉱液である。また、花崗(かこう)岩質マグマが結晶化していく過程でまだ結晶していない残液から、銅、スズ、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉛などの重金属の塩類を含む水溶液が分離し、地殻内を移動し、鉱脈形成の鉱液となっている場合もある。火成岩から分離したものでなくても、地殻内を循環して、岩石中にわずかに含まれる有用元素を溶出して、さらに地殻内の特定の場所でこれらの元素を種々の化合物の形で沈殿させたような地殻内循環熱水も一種の鉱液と考えられる。このように考えると、マンガン団塊については海水が、堆積(たいせき)性ウラン鉱床については天水・河川水が広義の鉱液に相当するが、一般にここまで鉱液の定義を拡張してはいない。
[飯山敏道]