Oroya熱,Peru疣症,Carrion病

内科学 第10版 の解説

Oroya熱,Peru疣症,Carrion病 (バルトネラ感染症)

 南米アンデス山脈の風土病で,ヒトが唯一の感染病原巣であり,無症状保菌者が有するB. bacilliformisをサシチョウバエが吸血することにより媒介伝播する.
 サシチョウバエの吸血後2~4週間で,発熱と溶血性貧血で突然発症する感染の急性期をOroya熱といい,その後の慢性感染期に呈する細菌性血管腫に類似した多発性皮膚病変をPeru疣症verruga peruanaとよぶ.Carrion病は,Oroya熱とPeru疣症を症候群ととらえたよび名であり,感染事故で死亡した研究者の名前に由来する. Oroya熱は,溶血性貧血を伴い,黄疸肝脾腫リンパ節腫脹を認める.しばしばサルモネラなどの腸内細菌との感染を合併し,重篤化することがある.筋肉痛,関節痛,激しい頭痛,譫妄および昏睡も起こりうる.未治療での死亡率は50%をこえる.Peru疣は,再発がよくみられ長期療法が必要である.Oroya熱は血液培養により,Peru疣は症状や生検により診断する.[安藤秀二]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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