ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「SOI構造」の意味・わかりやすい解説 SOI構造エスオーアイこうぞうsilicon-on-insulator structure 絶縁体基板の上にシリコン(→ケイ素)単結晶層を形成し,そこに半導体集積回路をつくり込んだ構造。素子と素子の間が電気的に完全分離されているので素子間の耐圧が高く,また相互の干渉がない。CMOS集積回路(→コンプリメンタリ型MOSFET)を SOI構造でつくると,ラッチアップ現象を本質的に回避できる。そのほかの利点として,素子につく寄生容量が小さいこと,高エネルギー荷電粒子の入射によるソフトエラーが小さいことなどがある。実用分野は主として高耐圧のパワーIC分野であるが,そのほかの特殊用途ICに使われることもある。この構造の代表的形成法は,シリコン上に基板となる絶縁体の層を堆積あるいは接着し,そのあとにシリコンを所定の厚さまで研磨するものである。これは主としてパワーICの製造に使われている。そのほか,サファイア単結晶やシリコン酸化物の上にシリコンを成長させる方法や,シリコン表面に酸素イオンの高エネルギー注入を行なって内部にシリコン酸化物の層を形成する方法がある。絶縁体基板のシリコン単結晶層の厚さを特に薄く 0.1μm以下にしたものを,極薄SOI構造と呼ぶ。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by