コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

単結晶 たんけっしょうsingle crystal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

単結晶
たんけっしょう
single crystal

1個の結晶内のどの部分においても原子配列の向きがまったく同一であるものをいう (結晶はイオン,原子または分子の規則配列によって構成されるが,便宜上原子結晶について述べる) 。単結晶内の一定方向 (晶帯軸) では原子は必ず等間隔に並び,また同じ方向の断面 (→結晶面 ) ではすべて同じ原子配列模様が現れる。自由に成長してできた単結晶では,原子密度の高い特定の結晶面が発達するから,水晶方解石のように各結晶系特有の多面体になるが,単結晶の本質は外形とは無関係で,結晶内成分原子の規則配列の単一性にある。容器で融解凝固させてつくる単結晶は,容器の内形に従い,幾何学的外形は示さない。また,単結晶では結晶軸方位が異なると原子間隔も変り,その結合関係も変るので,機械的性質や光学性,電磁気性などの物理的性質に異方性が現れる。実際の単結晶は,内部に転位などの格子欠陥を多数内包する一種の不完全性をもち,これが結晶の変形や強さに大きく影響する。材料固有の特性が単結晶で現れることが多いので,物性の研究になくてはならない。ダイオードトランジスタなど電子素子では単結晶がおもに用いられる。天然の単結晶は例が多くないが,金の樹枝晶輝安鉱柱状晶,ダイヤモンドなどがある。また多結晶岩石中の特定の鉱物結晶粒が単結晶的に大きく成長し,宝石や準宝石として採取されるものがあり,これにはルビー,サファイア,水晶その他類例が多い。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

デジタル大辞泉の解説

たん‐けっしょう〔‐ケツシヤウ〕【単結晶】

全体が一つの結晶からなり、どの部分の結晶軸も平行になっている結晶固体。→多結晶

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

百科事典マイペディアの解説

単結晶【たんけっしょう】

多結晶体双晶とは異なり,任意の結晶軸について,その向きが試料のどの部分においても同一である単一の結晶。大きな単結晶を人工的に作ることは実用的,あるいは理論的(固体物理学など)必要から重要とされる。
→関連項目結晶

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

大辞林 第三版の解説

たんけっしょう【単結晶】

一つの結晶のどの部分をとっても結晶軸の方向がそろっているもの。半導体素子・圧電素子やダイヤモンドなどの宝石は単結晶である。 ↔ 多結晶

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

単結晶
たんけっしょう
single crystal

一つの結晶個体において、任意に設定した結晶軸座標系によってその個体中の原子配置が統一的に記載できるとき、その結晶個体は単結晶である。換言すると、単結晶中に設定された単位胞を、その結晶軸の各軸方向に平行移動しただけで、結晶全体の原子配置が写し出される。しかしその条件を完全に満たす結晶は完全結晶perfect crystalであり、現実の単結晶では、より小さな単結晶が方位をわずかに乱して凝集しているモザイク構造をとっていると考えられている。また、微視的な構造の乱れや原子の欠落のような格子欠陥のあるのが普通である。結晶性物質の特性は単結晶にもっとも著しく現れるので、単結晶は結晶構造の精密決定や物性測定の重要な試料となる。材料、宝石としても単結晶の価値は高く、天然に産出する鉱物、宝石類はもちろん、人工的に成長させた大形の単結晶が利用されている。[岩本振武]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の単結晶の言及

【結晶】より

…例えば食塩NaClの結晶は,熱膨張率については異方的であるが,その中を通る光の速度については等方的である。 物体全体が一様に結晶質である場合,これを単結晶とよぶ。また,それが小さな単結晶が多く集まって,互いに不規則に向きを異にしてくっつきあっているものを多結晶とよぶ。…

※「単結晶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

単結晶の関連キーワードポルテヴァン‐ル・シャトリエ効果アモルファスシリコン太陽電池フッ(弗)化カルシウム成長接合型トランジスタワイセンベルグカメラローレンツの偏光因子ゾントハイマー振動単結晶ダイヤモンドゾーンメルティング二結晶X線分光器ボートグロウン法磁気バブルメモリシリコンウエハーシンタキシャルブロッホラインマイクロチップ弗化カルシウムブリッジマン法多結晶シリコンコッセル効果

今日のキーワード

分水嶺

1 分水界になっている山稜(さんりょう)。分水山脈。2 《1が、雨水が異なる水系に分かれる場所であることから》物事の方向性が決まる分かれ目のたとえ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

単結晶の関連情報