化学辞典 第2版 「X線吸収」の解説
X線吸収
エックスセンキュウシュウ
absorption of X-rays
物質によるX線の吸収.強度 I0 のX線が厚さdの物質に入射すると,X線は物質に吸収されて透過X線の強度Iは,
I = I0e-μd
となる.μは線吸収係数とよばれ,X線の波長と物質により異なる定数である.物質の密度をρとすれば,
μm = μ/ρ
を質量吸収係数という.吸収はX線により原子から光電子が放出されること,X線が物質により散乱されることによって起こる.吸収係数は波長が長くなるといちじるしく増大する.またある波長の値で急激に不連続的に変化するが,これを吸収端といい,元素に特有であって,特性X線の波長よりもやや短いところにある.吸収端よりやや短い波長では異常分散効果(X線の異常分散)が顕著に現れる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報