お俊/伝兵衛(読み)おしゅん/でんべえ

朝日日本歴史人物事典 「お俊/伝兵衛」の解説

お俊/伝兵衛

江戸時代の心中物戯曲の主人公。もとになった事件は元禄16(1703)年4月,京都で起きた米屋心中(河原の心中)で,宝永1(1704)年刊の『心中大鑑』は,米屋庄兵衛と八百屋の娘おしゅんとの心中とする。この事件は直後から浄瑠璃歌舞伎,浮世草子,歌祭文などに多く作品化されたため種々の異伝を生み,庄兵衛の名前ものちに伝兵衛に変わった。浄瑠璃「近頃河原達引」(1782年初演か)がこの事件を素材にした作品として有名。なかでもお俊の兄,猿回し与次郎と盲目の母親がふたりに祝言をあげさせ,落ちのびさせる「堀川猿廻し」の段は現在でもたびたび上演される。

(佐谷眞木人)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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